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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達-5

食堂は女性が談話する声で包まれていた。 もうほとんど人が集まっているようだ。
座る所を探していた私だが、長いテーブルの端に座っている紅様が私を見付けて、手招きする。
『皆、聞いてくれ。』
至って普通の声量、近い人物に話しかける程度の音量で紅様は呼び掛けた。
(・・・わぁ〜)
先程まで、各自好き勝手に談話していた声が、一斉に静まりかえり、皆コチラを見ている。
やはり、皆美女だ。
人間、エルフ、獣人、魔族。髪の長い者短い者。様々な美女だが、共通しているのがその美しさが容姿からではなく、心の内面から出ているということだろう。
『新しく入った、シャナだ。 皆仲良くしてやってくれ。』
『シャナです。 皆さま、よろしくお願いします。』
名乗り、お辞儀をする。女性達も笑顔で応えたり、手を振りながら笑いかけてくる者もいた。
『じゃあ、シャナ。 そこに座って。』
そことは、紅様の右隣。もちろん私は、わかりました。と言い、その席に座る。
やがて、アルネが食堂に入ってくる。紅様に一礼し、紅様の左隣に座った。
そこまでは別に変わった様子の無いアルネだが、私を見て急に表情が変わる。
驚いたような表情。そして、紅様を見る目は怒りを含んでいたような気がした・・・

アルネの異変。しかし、よく見ると女性達の何人かはアルネのように、決して良いとは取れない表情をしている。
(こ、この席って・・・何なのかしら・・・?)
何だか居心地が悪くなって、席を立とうと思ったや先に紅様がワインを薦めてきた。
『お口に合うかな?』
さすがに、紅様の酌を断れば失礼だ。私は薦められるがまま、二杯三杯とワインを飲む。
『紅様・・・もう結構です・・・』
実はアルコールなんて飲んだのは生まれて初めてで、酔いが回ってきたのだ。
『私・・・お先に失礼させて頂きます・・・』
それだけ言うと、席を立つ。ただ、歩くたびにフラフラとして、とても遅い。
『送っていこう。』
突然、紅様が私を抱きかかえました。
『い、いえ、紅様! 大丈夫です! 大丈夫ですから・・・』
だが、アルネが溜め息混じりに一言言ってきた。
『送ってもらいなさい。 紅様はあなたが大事なようですからねぇ・・・』
どこか、刺さる言い方だ。
『まぁ、そうさせて貰うよ。 アルネ、後はよろしく・・・』
紅様も対抗するかのような口調でアルネに言う。両者沈黙し、私はそのまま紅様に運ばれることになった。

廊下から見える空には、すでに星が見えていた。私の部屋に到着し、私はベットに降ろされる。

紅様は部屋を出ずに、ベットの側に座り、私の髪を撫でている。
『・・・食堂に戻らなくても良いのですか?』
紅様は私の質問に、ただ微笑みで返した。
『・・・シャナ・・・。』紅様はまだ私の髪を撫でている。その優しい手付きに、酔いも混じり私はうっとりとした表情になる。
『シャナ・・・突然で悪いのだが・・・』
紅様は言葉を切らした。そして、突然寝ている私に多い被さったのだ。
『! や! 紅様?』
私は紅様を押し退けようとするが、私の力ではどうすることも出来ない。 自分の顔のすぐ前に、紅様の顔がある。私は自分の頬が赤くなるのを感じた。
紅様はそのまま私を抱き締めた。そして、耳元でボソリと一言。
『好きだ。 君が欲しい。』
と言った。
突然、本当に突然の告白だった。その告白に、私は抵抗することを忘れた。
『・・・昼間は、抱かないとか言ったけど・・・ごめん、抑えられない・・・。』
『んぁ!』
紅様の舌が私の耳を舐める。
『あっ・・・や、紅様・・・待って・・・』
さっきの囁きもそうだが、私は耳が弱い・・・
紅様は耳を舐めるのを止め、私を見つめる。
『あ・・・あの、優しくしてください・・・』
私はこの一日で見た紅様を判断した。この人なら体を預けても大丈夫。
不確かな根拠だ、でもたぶんもう私は紅様に魅せられていたのだろう。理由が欲しくて考え付いた言い訳だったのかもしれない。


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