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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達-2

それから、三ヶ月かけて馬車は王都に到着した。
その間、馬車の御者に紅館のことを聞いたが、彼はこう答えた。
『紅館ってのはウェザ大公爵って奴が住んでるとこさ。 なんでも、美人奴隷ばかり買うくせに、そいつらを抱かないそうだ。 まったく、俺らからしたら変人さ!』

満員の奴隷市場で、私は大衆の視線を浴びていた。
視線は主に隠されていない私の胸と秘所に集中している。両手に鎖さえなければ、隠していたはずだ。 競売に出される前に、私は新しい首輪が与えられた。 この鍵付きの首輪からは数本の鎖が繋がっていて、それが手の動きを遮るのだ。
『さぁさぁ、本日のメインだよ! エルフ! それもまだ処女だぁ! 当方は一切調教してないから、反応も楽しめますよ。 さらに! エルフは長生きだ! ずっと若いまま、孫の孫の代まで楽しめる!』
そんな売り文句と共に、競売が始まった。
100万、200万と値が上がって行く中、私はただ一人を見ていた。ちょうど真ん前に座っている。この場には似合わないエルフの女性を。
長い金髪、青い目、間違いなく、美女の類に入る。

エルフは、静かに右手を挙げて、売り子に言う。
『800万』
800万、さっきかかっていた額の四倍だ。
突然の値上がりに、周りはシンと静まりかえる。
だが、別な声がさらなる値上がりを告げる。
『こっちは1000万だ!』
声の主を見ると、中年の成金風な商人らしき男が笑いながらこちらを見ていた。
『1200万』
エルフの女性が静かに言う。
『ふん、1500万だ!』
商人も、さらに値上げをする。
だが、2000万の値を商人が付けるとエルフの女性が沈黙した。
(・・・もうお金が無いのね)
私は、あんな中年の男の奴隷になるのだ。抑えていた涙が出そうになる。
『もうございせんか? ・・・では、このエルフはソチラの商人様がらくさ』
『待て!』
売り子が落札を宣言しようとした時、待ったが入った。
ちょうど入り口のところに赤いローブを纏った男が立っていた。ローブの色と同じ色の猫の耳が頭についている・・・獣人なのだ。
そして、参加者達は始めこそは誰だといった表情で入ってきた獣人を見るが、獣人を見た途端、きゅうにおとなしくなった。
ふと、エルフの女性が立ち上がり、獣人の元へ歩いていく。


『アルネ、落札してくれるよう頼んだはずだが?』
アルネと呼ばれたエルフは、申し訳なさそうに答える。
『それが、予算額の1950万を超えました・・・』
獣人はそうか、と言うと売り子に歩み寄る。
『今の価格は?』
『は、はい、2000万でございます。』
売り子の声がおかしい・・・緊張しているようだ。 
『そう、じゃあ、これが代金代わりだ。』
そう言って獣人が差し出したのは黄金細工の剣だった。
『今の価格の約5倍になるが、どうかな? これで落札ということでは?』
1億、いくら成金商人と言えども奴隷一人にそんなにお金をかけられなかった。
私はこの獣人に買われた。
『君、錠前師を呼ぶように。 アルネ、帰りの馬車用意を。』
手早く売り子とエルフに指示を出す。
獣人は私を呼び寄せ、ひょいと、私を抱きかかえた。ぞくにいう御姫様ダッコというものだ。

競売場の横にある控室で、私はベットに横に寝かされた。
『一応、言うのが規則ですので言わせて頂きます。 こちらの控室で買った奴隷を味見出来ますが、いかがいたしますか?』
売り子は恐縮しながら言う。
『仕事ご苦労。 必要無い、早くやるように。』
獣人は錠前師へ私に付けた鍵付きの首輪を外すようにと命じたのだ。

『・・・毎度ながら、私にはあなたの趣味がわかりませんよ。 なんでこんな美女を抱きもしないのか。 誰にも抱かせないのは共感出来ますが。』
ガチガチに緊張している売り子とは対照的に、錠前師の方はそれほど緊張せず、私の首輪をいじっている。
程なくして、首輪は音を立てて外れた。
『やけに早いな。』
『どうせあなた様が来ると思ってましたから、外れやすいようにしてたんですよ。』
私の体に自由が戻ってきた。先ほどまで隠せなかった、胸と秘所を隠す。
そんな私を見て獣人は来ていたローブを脱ぎ、それで私の体を隠す。
『はぁ、まぁ、お好きなように。 こっちはお金貰ってますから文句言いませんよ。』
錠前師はそういうと売り子と一緒に部屋を出ていった。
『君の名は?』
獣人は私の髪を優しく撫で始める。
『シャナ、シャナと申します。 えと、ご主人様?』獣人はよく見ると、かならの美男だった。
『シャナ・・・良い名前だ。 さて、まず始めに言おう。 私は君を無理矢理抱いたりなんてしない。 もちろん、他の誰かにも抱かせない。 抱こうとする奴は焼き殺す。』
さらりと、恐ろしい言葉が獣人の口から出た。


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