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ぷるぷるしたもの
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ぷるぷるしたもの-1

ジリリリ、ガシャ
「朝か。」
目をこすって起きる。自慢じゃないが寝覚めはいいほうだ。
いつも通りの朝…というわけではなかった。
「なんだこれ?」
スライムがいた。スライムといってもどろどろしたやつではなく、ドラクエに出てくるような水のしずくのような形をしたやつだ。
大きさは大体両手のひらで抱えるぐらい。色は青。目と口もついていた。つぶらな瞳がこっちを見ている。
『ピィーー!!』
鳴き声なのだろうか?そんな声を出しながら飛び跳ねて俺にタックルしてきた。だがいかんせん全然強くない。むしろ心地よいぐらいだ。
『ピィ、ピィ。』
何度もタックルしてくるのが面白いのでしばらく放っておいた。
『ピィ〜〜。』
疲れたのか、若干横に伸びてこっちを見てくる。とりあえず掴んでみる。ぷるぷるしていてヒンヤリとしていた。夏なら重宝しそうだが今は秋だ。寒くなるにつれこいつのウザさも増していくことだろう。
『ピィ、ピィ。』
俺の手のひらの上で鳴く不思議生物。いや、生物なのだろうか?わからないが学校に行く時間が迫ってきたのでとりあえずゴミ袋に入れて口をしばり、出かけた。

途中で忘れ物に気づき部屋に戻ると、スライムは袋の中で暴れまわっていた。最初は外に出たいのだと思っていたがかなり苦しそうにしている。そういえば空気穴を開けるのを忘れていた。ゴミ袋から出してやると大きく口を開けて息を吸いだした。可哀想なことをしたが生物ということは証明できた。
若干怒ったような目でこっちを見てきたので頭を撫でてやると気持ちよさそうにしている。中々かわいいやつだ。最初はどっかの研究所に売り飛ばそうと思ったが飼ってみても面白いかもしれない。とりあえず窓の側に置いて、俺は学校に向かった。

学校に向かいながらスライムのことを考えていた。生き物ということは一体何を食べるのだろう。なるべく安いやつならいいのだが。すると後ろから
『おはよう。』
えっと、こいつは・・・駄目だ。名前が出てこない。いいや、今日からお前は友人Aだ。
「おはよう。なぁ、スライムってさ、何食うと思う?」
『朝から何言ってんだよ、お前は。』
言われてみれば確かにそうだ。俺だって朝からこんな質問をされたらすぐに119だ。
「いや、すまん。」
『まぁ、スライムっていえばホウ砂と洗濯のりで出来るからそのへんを食うんじゃねーの?』
なるほど、それは思いつかなかった。あいつが人工物かどうかはわからないが案外ありえるかもしれない。薬局で買って帰ろう。やるではないか、友人A。褒美として友人Ωにしてやろう。

がちゃ
部屋に入るとスライムは窓の側で寝ていた。いや、ひょっとしたら光合成をしてるのかもしれない。だとしたらとても便利なやつだ。餌代もかからずおまけに酸素も出してくれる。あ、でも青色だからそれはないか。光合成には確か緑の細胞が必要だったような気がする。
スライムは俺に気づくとこっちに近づいてきた。とりあえずせっかく買ってきたのでホウ砂を与えてみる。
スライムはしばらく目の前の粉を眺めたあと、それを舐めた。そして青色の液体とともに吐き出した。これは吐いたということだろうか。
恨めしげにこっちを見てくるスライム。どうやらお気に召さなかったらしい。くそ、友人Ωめ。500円もしたんだぞ。やっぱり貴様は友人Aだ。
ホウ砂の使い道を考えたが日常生活で使うことは皆無という結論を出し、俺はホウ砂を棚に置いて台所に向かった。


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