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Cross Destiny
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Cross Destiny
〜神竜の牙〜@
-26

「なるほどな、確かにあれは素人目にも凄い武器だということはわかった」
「で、どうすんだよアルス?」
「・・・・」
アルスは特に考えて無かった。
「ちょっと待っててくれ」
すると町長がそう言い、部屋から出ていく。
数分後 町長は一本の剣を持ってきた。
「名剣ファルシオン
これをアルス君にあげるよ」
町長はアルスに剣を差し出した。
「これは僕が昔友人から借金のかたにもらったものだ。なんでもれっきとした業物らしい。まあロイドの武器には遠く及ばないが。」
アルスがその剣を抜くと、確かに天槍エルグライドには及ばないものの
刃こぼれ一つなく美しい刀身をしており、すぐにいい品だということがわかった。
「本当にいいのか?」
「ああ」
町長は頷く。
「なんでここまでしてくれる?」
アルスが不思議そうに尋ねた。
「君達が僕の理想だった生き方をしているからさ」
町長は微笑む。
「え?」
「僕は昔、君みたいに剣士になって世界を旅してみたかったんだ。
自由に」
「・・・・」
アルスとフォルツは黙って聞く。
「だができなかった。
親父に反対されたのもあるけど、なにより死ぬのが恐かった。
勇気がなかったんだ。
君達はましてやあの黄泉羽を相手にしようとしている。
そして僕は結局こうやって普通の生き方を選んじまった。」
町長はうつむきながら言った。
「だから君が、君達が羨ましい。
そして勝手だけど僕の夢を継いでくれてる。そんな気がしちまうんだ。
だからさ」
町長は再び顔を上げて言った。
「恩に着る」
アルスは軽く頭を下げる。
「だが・・・・・こんなことをして、あんたやあんたの町が狙われたりしたら」
アルスは、町長が自分に力を貸したことで町や町長が黄泉羽に標的にされないか不安を抱いていた。
「その心配はいらないよ、黄泉羽は自分の邪魔をする者を排除するだけだ。
その者に肩入れしたからってわざわざ危害を加えるようなことは決してしない。」
「なら・・・いいんだが。」
町長の話を聞いてアルスはほっとする。

「ところでアルス、お前さっき修業するとか言ってたけどルナをシーラに連れてくのはどうするんだよ?」
フォルツはアルスに尋ねた。
「あれは中止だ。」
「中止?」
「俺はルナが追われているのはホーリー王国の国内だけの話だと思っていた。
だから国外に連れ出せば安全だと思ってたんだ。」
「うん」
フォルツが頷く。
「だが黄泉羽に狙われてるとなれば話は別だ。
奴らは世界中で暗躍してるからな」
「確かに。
じゃあどうすんだよ?」
「奴らは俺達を追跡するために必ずここに戻ってくる。
だから迎え撃ってルナのことを聞き出す!」
アルスは力強く言った。
既に考えがまとまっていた様だ。
「本格的に黄泉羽を敵に回すのかあ、やだやだ」フォルツ半笑いで嘆く。

そしてアルスは自分がレーヴェスに敗北した荒野に向かう。
そしてそこで剣を抜くと、あの時の戦いを思い出す。


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