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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜@
-20

〈三章 死を運ぶ羽〉

黄泉羽(よみばね)

それは敵に死をもたらす八枚の羽。

八人から構成されるその組織の詳細は誰も知らない。
目的さえも。

彼等には何も無い、大切なものも
過去も未来も。

あるのは死。

敵に必ず死を運ぶという掟だけだ。


アルス達はフォレスの町に着いていた。
緑が豊で町も割と発展しているその町は人であふれ返っていた。
二人は不思議な境遇を持つルナに対して終始困惑していた。
しかし二人は少しずつ理解する。ルナが18年間閉じ込められていたこと。
追われてれていたこと。
それはあの不思議な力によるものなんだと。
二人はその不思議な力に対してはまだ困惑している状態だったが、それにはあまり触れなかった。
そしてアルスとフォルツは宿屋の椅子に座りながら話し合う。
「で、結局ルナをどこの国に送り届けることにすんだ?」
フォルツが尋ねた。
「そうだな、ジェラルドとヒーティアは戦争中だからリィズかシーラしかない。だがリィズは極寒の地だ。やはりシーラがいいだろ。」
アルスの中では既に考えがまとまっていたらしい。
何日かこの町で休息を取り、港を探して船でシーラ王国に渡ろうと。
そしてしばらくそこでルナが暮らせる場所を探そうと考える。
「オーケー。」
フォルツは頷く。

そして二人はルナを呼び、今後の予定を伝えた。
しかしその話を聞いたルナは微かに浮かない顔をしたことにアルスとフォルツは気付いた。そしてその後
「はい」
と一言だけ言った。
その時は二人にルナの心のわだかまりを理解することはできなかった。

その日の夕方、アナルとフォルツは二つの視線を感じていた。
しかしその正体を掴むまでには至らない。
ただなんとなく感じる鋭い視線、それはお互いが気のせいだと思う程に一瞬のことだった。

それから数時間、日も暮れる頃 三人が宿で休息をしていた時。
突如"ドーン"という音と共に地響きが聞こえた。
驚いたアルスとフォルツ そしてルナが窓の外を覗くとそこにいたのは二匹のトロルだ。
「あれはトロル、一体どこに潜んでいた?」
「土の中で冬眠していて目覚めたのかもしれない。」
突然のトロルの出現で町民達はパニックに陥る。
民家から、宿屋から、各店等から人の波が流れ出た。
それを見てトロルも興奮した様子で唸りを上げた。
「フォルツ 行くぞ!」
「全く行く先々で魔物が現れるなんてどうなってんだこの国は!」
アルスとフォルツは窓から飛び出した。
それを見てルナも後を行く。
そしてアルスとフォルツは剣と杖を構える。ルナもその後ろで援護の態勢に入る。
その時だった。
「バーニングウォール!!」
炎の上位呪文を唱える声と共に巨大な炎の壁が現れ、一匹のトロルが一瞬で焼き殺された。
二人がその声のする方を見るとそこには一人の少女がいた。


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