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H.S.D
【学園物 恋愛小説】

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H.S.D*16*-1

嗚呼…。
あたしもおバカの仲間入りだ…。
一時間近く教室の窓を外からガチャガチャ揺すっている姿は、おバカな変人そのものだ。
今考えれば当たり前の結果かもしれない。たとえ、あたしが金曜日に教室を出る直前で窓の鍵を開けて帰ったとしても、見回りの校務員さんが鍵を掛け直すに決まっている。
日曜日にこっそり忍び込んで最終チェックの最終チェックをしようと思っていたのに。
「ったくもー…」


―ドンッ


あたしは窓ガラスを殴った。
「ったくもー、ったくもー、ったくもー…」


―ドンッ、ドンッ、ドンッ


あたしは、自身に対するイラツキが全然納まらず連続的に殴りまくる。
「くそっ、くそっ、くそっ…」
教室の中はカーテンが掛かっていて何も見えない。
このまま窓ガラスなんか割れてしまえ。なんてことを考え始めた時、カーテンが僅かに動いた。
「……!?」
あたしの腕は窓殴りを止めていた。そしてあたしの瞳はカーテンの一点をじっと見つめている。
暫らくしてカーテンの裏から、怯えた顔の矢上がひょっこり現れた。
「…っ!!」
目が合った途端、お互いしばしの硬直。
抜けていった魂を呼び戻し、今の状況を理解するために脳をフル回転させて、やっと現状を把握できたとき、あたしは
「ヤガァミッ!」
と外国人のような言葉を発していた。
そりゃ頭も混乱するさ。小細工までして教室に入りたかったのに、鍵が掛かっていて一時間ほど窓と格闘したにもかかわらず、中に人間がいやがって、しかもその人間てのが学校を月曜から金曜までキレーイに休んだ矢上なのだから。
誰がこんな結果を予測できただろう。
矢上が鍵をカチンと下に下ろし、窓を開けた。
そして久しぶりに会った第一声は
「怖いってッッ!!」
だった。
「こっ、怖い…」
なぜかあたしはそっくりそのまま同じ言葉を返していた。この辺り、まだ頭は正常に働いていないということを理解して頂きたい。
「まじ心臓止まるかと思ったんだからねっ!」
負けじと矢上はあたしを責め立てるが、今度は全くその言葉には気にも止めず平然と
「どっから入ったの?」
と聞いていた。感情を自分自身でコントロールできないらしい。会話が全く成り立たない。
あたしの唐突な質問に、矢上はまだ少し震える声で
「ふ、普通に玄関から…。校務員さんが入れてくれた…」
と呟いた。
その瞬間、あたしは何かがプツンと切れた。とにかく、何も考えられないままあたしの足は玄関へと向かっていた。


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