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WAKALE
【失恋 恋愛小説】

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WAKALEー浩人ー-6

『友達だって言っても俺の彼女だ!お前は親友の彼女と普通に二人きりで会うのか!?』
『元彼女だろ。今は別れたんだから。』
『んだと、てめえ。』
翔のこめかみが怒りでヒクヒクしているのが分かる。俺が素直に謝ればいい。そうすれば、済む。けど、今までの色んな光景が自分の中でフラッシュバックして、それに伴って色んな感情が暴れ出して、謝るどころか俺まで喧嘩腰になってしまった。
『親友だっつったって、空に手ぇ出すのは許さねえぞ!』
翔はとうとう掴みかかってきた。頭がないから、すぐに力で出る。
『だったらちゃんと捕まえとけよ!』
俺は掴まれたまま思い切り叫んだ。
『不安にさせるなよ!泣かせるなよ!何なんだよ、お前!俺と空ちゃんが一緒にいるトコ見ただけで、お前は別の女部屋に上げんのかよ!?』
『…美貴は友達だ。』
翔が少し怯んだ。
『へえ…?友達だったら、空ちゃん以外の女でも部屋上げていいわけだ?』
『うるせえよ!てめえがやってる事だって同じようなもんだろ!』
翔は俺から手をバッと放した。
『お前がやってる事と一緒にすんな。』
『何だと?』
また睨みつけてくる。
『俺は空ちゃんに別れた原因聞きに行っただけだ。』
『そんなん俺に聞けばいいじゃねえか。』
『お前に聞いたら、空ちゃんの本心がわかんねえだろ。』
これは、とっさに出た嘘だった。本当は、ただ二人で会いたかっただけだ。
でも翔はその嘘に騙されてくれたらしい。
『…マジか?』
かなりバツが悪そうに聞いてくる。そりゃそうだ。勝手に勘違いして、親友に掴みかかったんだから。
『マジだよ。何で今更お前から空ちゃん奪わなきゃなんねえんだよ。』
……本当は、奪いたいけど……。
『…ごめん、浩人。マジでごめん。』
俺はため息を一つついた。
『いいよ。…わからなくもないから。まぁ、少し話そうぜ。』
翔はベッドにボスッと座り込んだ。
『俺…、お前がまだ…空の事好きだと思って…。』
俺は何も言わずにソファーに座った。
『…アホだよな。お前にそう言われたの3年も前なのにな。』
そう、あれは大学1年の時。翔と空ちゃんが喧嘩してた時。翔が全然謝ろうとしなくて。それを俺は、なだめてた。『とにかく謝れ』って。その時あまりにも強情な翔に少しキレて、俺は最後にこう言った。『俺、空ちゃん好きだから。マジだから。お前がそんななら、俺マジ奪うからな。』と。あの時の翔の何とも言えない顔。何度思い出しても笑える。
『…今は、好きじゃないんだろ?』
翔が不安そうに聞いてきた。
『…まだ、好きだって言ったら?』
試した。どんな反応するか。3年前のようにただ驚くか、それともーーー。
『渡さねえ。もしそうでも、空は、俺のもんだ。』
あまりにも真剣な顔で言うから、少し嬉しかったり可笑しかったり、複雑な感情で、笑ってしまった。
『…なっ…!てめえ、笑うトコじゃねえぞっ。』
翔は少し恥ずかしそうだ。
『ごめん、ごめん。』
翔を軽くなだめた。…知らない間に俺は、随分コイツに引き離されてたみたいだ。彼女への想いーーー。
『なぁ、翔。空ちゃん泣いてた。』
いきなり切り出した。翔は、驚いてたけど何も言わなかった。
『美貴ちゃんとお前が…、ジュエリーショップにいるのを見た。んでお前に怒った。自分の勘違いだって気づいたのは、お前が出て行った後みたいだ。』
『そっか…。』
『お前の事好きだってさ。』
そう言うと、翔はまた驚いてた。
『お前の事好きなのに、嫉妬して、初めてあんなひどい事言って、お前に合わす顔がない…って。泣きそうになりながら。』
俺が見た、聞いた、空ちゃんの翔への想いを、とにかく全部伝えようと思った。それしか、俺には出来ない。


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