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WAKALE
【失恋 恋愛小説】

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WAKALE-1

何で、あんな事を言ってしまったんだろう。
何で、信じきれなかったんだろう。
分からない。けど確かなのは、アイツー翔(かける)ーと別れた事だけ。


『WAKALE』


ちょうど2時間前だった。ある事で、あたしの頭はいっぱいで、怒りと憎しみと絶望と不信感と…。とにかく、負の感情があたしの頭を支配してた。

あたしは部屋に、その‘事'の張本人、あたしの彼氏・翔を呼び出した。
部屋に着いた時、翔は何だか嬉しそうな顔をしていた。だからあたしは更に、誤解してしまったんだ。
ーあの子と居たからそんなに嬉しそうなの…?
と。
翔はすぐにあたしがいつもとは違うって事に気づいた。そりゃそうよ。ずっと一緒にいたんだもの。
『…どうかしたのか?』
翔は優しく聞いてきた。あたしの肩に手を乗せて。あたしは何も答えない。
わかってるくせに聞かないでよ。
翔は何も答えないあたしに痺れを切らして、ため息をついた。
『…ったく、こんな良い日だってのに…。』
ボソッと呟いたその言葉が気に入らなくて、気づいたら泣き叫ぶようにして、あたしは翔を責め立ててた。
『何よ、こんな良い日にって!たまに機嫌悪くなるのが悪い!?』
『別にそんなこと言っ』
翔は驚いてた。普段は大人しくて優しくて貞淑で。そんなあたしが叫んで怒るなんて、てトコね。
『言ってるじゃない!良い日って美貴に会えたからでしょ!?』
『…は?』
『とぼけないでよ!美貴と会ってたじゃない!それもここ最近毎日っ!婚約者のあたしほったらかして、あたしの親友に会ってたなんてどういう神経!?』
美貴は、あたしの大親友だ。小さい頃からずっと一緒。だからこそ許せなかった。
翔が最近付き合ってくれない事をずっとおかしく思ってた。だけど、大して気にも止めなかった。バイトが忙しいのかなって。だって、今日は…、私たちの付き合い始めた日。7年目。
『ちょ、待てよ。今日は俺たちの記念日だろ!?だから良い日って…。』
『だったらどうして!?何でずっとあたしに黙って美貴に会ってたの!?美貴も、あたしには翔と会ってるって事隠してた。やましい事がないのに隠すなんておかしいじゃない!』
『それは…っ』
翔は言葉に詰まった。ほらね。やっぱり、やましい事があるんじゃない。けどどうして…?
あたしはだんだん悲しくなって、涙が後から後からこぼれてきた。
『空(そら)…。』
あたしの名前を優しく呼んで、翔は抱きしめようとした。でも。
『触らないで!』
翔をドンっと押してはねのけた。不信感がもう、脳内全部を犯していた。
『どうしてよ…。信じてたのに…。いっぱいいっぱい…、尽くしてきたのに…。』
『空っ、信じてくれよ!』
崩れ落ちるあたしを翔が支えた。信じて…?無理よ。だって、相手はあの美貴だったんだから…。あたしが、大好きで憧れてやまないあの美貴だったんだから…。
『もう…いい。信じられない。もう…、二度と顔も見たくない。』
『空っ!』
青ざめたような顔をしてる翔。そんなに嫌?けど、あたし本当はそんなに優しくないの。裏切り者を許せるほど、出来た人間じゃない。


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