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WAKALE
【失恋 恋愛小説】

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WAKALEー浩人ー-2

切った後に、少し翔への罪悪感が残った。別れたばかりの、親友の恋人と二人きりで会うなんて、どんな理由であっても卑怯な行為だ。けど、そうと知っていても、感情を止められなかった。興味と、ずっと昔に封印したはずの気持ちーーーーー。それが、再び湧き上がってくるのが、分かった。


彼女に初めて会ったのは、大学の入学式の時。幼稚園から一緒だった翔と高校だけ離れて、大学でまた一緒になり、嬉しさと安心した気持ちで入学式に向かった。沢山の人の中、隣に座っていたのが、彼女だった。
第一印象は『綺麗な人』という感じだった。黒髪のロングストレート。横顔からわかる、端正な顔立ち。クリッとした大きな黒い瞳。はっきり言って、一目惚れだったと思う。
近づきたくて、話したくて、知ってほしくて、緊張しながら話しかけた。
『ぁ、あの…』
俺の方を向いた時のあの表情。そして、目が合った時の喜び。今だって忘れない。
『…何か?』
彼女は、少し警戒しているようにも見えた。後から聞いたら、相当な人見知りだから、と言った。
『ぁ…っと、俺、木島浩人ってゆうんだけど。』
『はぁ。』
『ぶっ…、文学部なんだ!君…は?』
少しの間、彼女は黙っていた。失敗だ、と思った。効果音にしたら、ガーンて感じだった。けど、彼女は…。
『私も文学部。よろしくね。』
微笑んでくれた。
『友達早速出来ちゃった!嬉しい!』
俺の目を見て、そう言った。その笑顔が、凄く綺麗で眩しくて、その時俺は完全に恋に落ちた。
『名前…、なんて言うの?』
『空。彼方空(かなたそら)。』
『空…ちゃんか。空ちゃんて呼んでいい?』
『うん!私は何て呼べばいい?』
『呼び捨てでいいよ。』
ちょっと期待して言った。呼び捨てだと、特別な感じがするから。
『呼び捨ては、ちょっと…。あ!ヒロ君て呼んでいい?』
やっぱダメか…。
『いいよ。』
けど、こうやって友達になれただけでも俺は幸せだった。
『でも…、ヒロ君の名前どっかで聞いた事ある気が…。』
『そうなの?』
『うん。高校の時かな…?ヒロ君高校どこなの?』
『俺?上條だよ。空ちゃんは?』
『私、水岡。』
その名前を聞いて、一瞬で俺は親友の事が頭に浮かんだ。
『水岡?じゃあさ、高…』
『空!!』
ちょうどその時、後ろから聞き慣れた声が聞こえた。
『翔!』
目の前の彼女が、俺に対してとは違う笑顔になった。
『見っけ!飲み物買ってきたんだ。』
嫌な予感がした。声がした方へ目を向けた。予感的中。そこには、俺の親友がいた。
『ひっ、浩人ぉ!!』
俺が反応するよりも早く、翔が反応した。
『え、翔知ってるの?』
彼女が不思議がった。
『知ってるも何も、昨日話したろ?親友が一緒なんだって。』
『ああ!そっか!ヒロ君の名前どっかで聞いたと思ったら、翔がよく話してたんだ!』
『何だ、お前等隣同士?い〜いなぁ〜。』
翔はそう言って、俺の隣に座った。
『浩人!お前いつ来たんだよっ。今日一緒に帰ろーぜ!』
『てか…、翔。お前と…空ちゃんは…どうゆう関係なわけ?』
聞かなくても分かってた。けど…。
『ああ、お前には今日紹介しようと思ってたんだけど…、高校の同級生で、俺の彼女。』
その言葉で、俺の恋はあっけなく終わった。とゆうか、恋人になる希望は絶たれた。相手は親友。そして、二人の姿を見ていればいるほど、入り込めない、自分じゃダメなんだとゆう事を、思い知らされた。だから、二人の幸せを願った。

けど、二人は別れてしまった。今になって。あんなに思い合っていたのに、壊れるのは余りにもあっけなくて、何だか悲しかった。


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