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WAKALE
【失恋 恋愛小説】

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WAKALEー浩人ー-1

どうして、空ちゃんは翔に別れを告げたんだろう。
どうして、翔はそれを受け入れたんだろう。
分からない。けど確かなのは、あんなにも思い合っていた二人が、別れてしまった事だけ。


WAKALEー浩人ー


祝賀会をやろうと、幸せ一杯のはずの親友ー翔ーに、誘いの電話をかけた。聞こえてきたのは、自分の中に思い描いていたものとは全く反対の、酷く落ち込んだ声。よく分からないから、そのまま聞いていたが、翔は話しながらどんどん涙声になっていく。その次の瞬間には、ガツンと鈍い音がして、電話が切れた。もう一度かけようかとも思ったが、さすがに出来なかった。今は、一人にした方がいいだろう。
少しだけ残っているコーヒーを飲み干して、勉強道具をカバンに詰めて、カフェを出た。今日も寒い。
しかし、どうしたものか…。昨日は翔と空ちゃんの記念日だったはず。やっと指輪を渡せる、と嬉しそうに言って帰って行ったのに。喧嘩でもしたんだろうか?まさか…。
頭の中に『別れ』という文字がポンと浮かんだ。だけど、すぐに打ち消した。あの二人に限ってそんな事はないだろう。けど…、あの翔の様子…。
気になって、胸がざわついて仕方なかった。ケータイを取り出して、今度は空ちゃんにかけた。

プルルル…プルルル…プルルル…プルルル…

…出ない。気付かないのだろうか?

プルルル…プル…ピッ……

<……はい>
出た。
『ぁ。そ、空ちゃん?俺、浩人。』
<……うん。>
空ちゃんの声も酷く落ち込んでいた。翔より酷いかもしれない。
『あの…さ』
いざとなると、何から聞いていいか分からない。
<…何?>
黙った俺を不思議がる。
『あの…、さっきさ、翔に電話したんだ。』
<……そう…。>
あまり触れてほしくなさそうだった。
『あいつ元気なかったんだけど、何か知ってる?』
<………>
『空ちゃん?』
<……ごめん、知らない。>
『ぁー、そっか…。……今日さ、本当は空ちゃんと翔のお祝いしようと思ってたんだ!けど、肝心の翔元気ないからさ。空ちゃんも元気なくない?』
わざと明るく聞いた。
<…そんなこと……ないよ。>
無理に笑っているのが分かった。確信した。二人はーー、翔と空ちゃんは、別れた。
『なくないよ。俺、翔の親友だし、それくらいわかるよ?』
<………>
今、聞いてしまおうか。失礼な事だけどーーーーー。
『ねえ、空ちゃん。もしかして翔と…別れた?』
<……………>
沈黙が続いた。答えが返ってくるのを待った。
<……っ…あんな…事…っ、言うつもりじゃ……なかったの…っ…。>
涙声だ。胸が締め付けられた。
<……私が…別れよう…っ…て…。けど…別れ…たい、わけじゃ…なかっ……ひっ……く…。>
空ちゃんがふった。翔を。どうして?と聞きたかったが、電話で話してはラチが開かなさそうだ。
『明日、開いてる?』
<……明日は、朝からバイトなの。>
少し、警戒している。
『明日、詳しく話聞いてもいい?翔は、今は聞けない感じだから。』
<…でも…。>
友達とは言え、男と二人きりで会うのは、今はさすがに気が引けるのだろう。
『二人の友達として、翔の親友として、聞いておきたいんだ。空ちゃんも、胸の内に溜めたままはつらいよ。』
少し、嘘をついた。
<……わかった。明日9時からバイトだから…、12時くらいなら。>
『わかった。行くよ。じゃ。』

ピッ…


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