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友情の方程式
【学園物 恋愛小説】

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友情の方程式END-1

「…ってば!ねぇ、起きてってば!」
「…え〜もう??」
少し甘え口調。
「何言ってんの!!行くよ」
「ふぁ〜い」
「また後でね」
それだけ言って、どこかに行ってしまった。

今日は、学生最後の行事−卒業式だ。
一人になった俺は適当にクラスメイトと話し、学校の中を見て回った。

なんだかんだいいながら、クラスメイトと楽しく騒いだ教室。
小腹が空いた時にお世話になった、購買。
怠いと言いながらも、実は楽しく実験をした実験室。
皆でよく遊んだグランド。
そして…一番思い出のあるあの部屋の前に来た。
不意にあの頃のことを思い出した。





『ねぇ…中山。私決めたの』
珍しく加藤から話かけて来た。以前と変わらない、クールな表情。
あの日から、俺と加藤は数日間−今の今まで言葉を交わしていなかった。
あんなことがあって、俺の中では加藤に対する見方が少し変わってしまったから。それは加藤も薄々気付いていたと思う。
後悔はしていないし、あぁなったことに驚きはない。心のどこかでいつかそうなるのではないかと思っていた。でも…気まずかった。
『何を決めた?』
何事もなかったかのような口調で話す。
『私…北川とやり直してみようかと思う。』
…その瞬間、あの時に満たされた感情が壊れた。まるで膨らんでいた風船が空気が抜けたように。すぅっと。
『そっかぁ〜じゃもう返事したんだ』
『まだ…してない。友達からやり直そうって言うつもり。』
淡々と話す加藤。
『そっかぁ…頑張れよ。』
『うん。…ありがとう』
そう言い残して、加藤は自分の席に戻った。
あの時満たされた感情は壊れたが不思議と辛く悲しいものではなかった。…ただ、寂しく感じた。自分の玩具を取られた様な。そんな感じ。

この日を境にまた俺は以前と同様、加藤と話すことようになった。
だけど、お互いあの日のことには触れない、という暗黙のルールがあった。

それからというもの、就職活動や卒研と忙しく、気付いたら、一年は経ち、今に至った。





「中山」
あの部屋の前でぼぉっとしていたら、誰かが声をかけてきた。
「北川…どうした?」
「みんな、集まって飲みに行くってよ」
「え、もうそんな時間か?」
自分の腕時計を見る。バイト代を貯めて買ったお気に入りの時計だ。
「そうだよ〜」
北川が急かす。
「悪ぃ悪ぃ〜わざわざ呼びに来させて」
「いいよ、気にするなって」
にこっと笑う。前までは、嫌味にしか見えなかった笑顔が今は素直に受け入れることができる。


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