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友情の方程式
【学園物 恋愛小説】

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友情の方程式6-1

『失礼しました』
そう告げ、ドアを締める。担任に呼ばれていたのだ。話は進路のこと。一応卒業したら働くつもりだ。と言ってきた。

あんなことがあった春から、夏は過ぎ、いつの間にか朝晩は肌寒く感じるようになった。
加藤はこの夏、部活を引退し今はバイトと勉強の両立を頑張っている。
外見も変わり、パーマをあてて化粧もするようになった。派手になったわけではなく、いいお姉さんといった感じだ。
北村は相変わらずの感じだ。噂によるとあの女性とは別れたらしい。どうせまた
別に好きな女性でも出来たのだろう。
俺は相変わらず、呑気に生活している。未だ彼女出来ず…。
いや、晶と別れてから一人できた。でも、すぐに別れた。性格が合わなかった。
…と自分に言い聞かせているところがある。


もう時間が時間。教室まで続く廊下は静かだ。
そんな時だ。
『ふざけないで!どうゆうつもりよ!』
女の声…加藤の声が聞こえた。教室からだ。
『だから…』
相手は、北川だった。
今の勢いに驚いたのか声が小さかった。珍しい組み合わせに驚いた。
俺は教室のドアの近くにしばらくいることにした。
幸い、他の教室には誰もいないらしい。
『私、何の為に君を諦めようとしたと思ってるの?君が気になって仕方なくて…でも負担になっちゃいけないって思って、あの日別れたの。あれから私は忘れようと必死だった。君の新しい彼女を見ても、何とか切り替えよって自分の中で決めた。なのに…なんでそんなこと言うの?君、自分がやったこと分かってるの?何回私を泣かしたら気がす…む…』
『ごめん。やっと分かった。やっぱり、俺には、な…』
『嘘つかないで!君、私に別れる時、別に好きな人が出来たって言わなかったじゃない。なんで?その時から既にもう…』
どんどん声が大きくなっていく加藤。こんなに取り乱している加藤は初めてだ。
『でも、やっぱり俺にはお前が…』
『私の気持ち考えたことある?ないよね?あったらそんなこと言えないもんね。自分のしたこと、もう一度考えて!』
加藤は、教室を走って出て行った。一瞬目が合った。…見たことがないくらいに、悲しそうな表情だった。

教室に残っている北村を見る。
さすがにショックは受けているみたいだ。
俺は鞄を取り、教室を出て行こうとした時、
『聞こえた?』
と北川。当たり前だ。
『…うん。』
『まさか、あそこまで怒るとは…。あんなに想ってくれたなんて知らなかった。』
『…お前があいつと何あったか聞かねぇけど、いい加減、あいつを泣かせるの、止めたら?』
気付いたらこんなことを言っていた。俺の…今、素直な気持ちだ。
『だから…やり直してくれないかって言ったんだよ。』
戸惑いながら言う。本当にやり直せると思っているのだろうか…?
『ホント…あいつが言ってたように、もう一度考えてみたら?自ずと分かると思うよ』
北川は戸惑いを隠せないようだ。どこまで自惚れているのだろう。あんなことをしておいて。
俺は、加藤を追い掛けた。


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