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友情の方程式
【学園物 恋愛小説】

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友情の方程式5-2

『え?フラれた?』
加藤が驚いて、目を見開く。手にしたパンを離し、こっちを見る。
『うん。昨日、あの後、電話で』
平然と答える、俺。
ここは購買。お昼を加藤と買いに来たのだ。
『あ…そう。』
もう一度、パンを選び直す。手には菓子パンとお惣菜パンが一個ずつ。
『普通さぁ、フラれたって言ったら”大丈夫?”とか慰めの言葉、かけない?』
パンの隣の棚にあるお弁当を手にして、言う。
『いや〜中山に言ってもしかたないでしょ?どうせ、また新しい女の子見つける
んでしょ?』
そう言いながらレジに並ぶ。昼だからだいぶ混んでいる。俺も加藤の後ろに並ぶ。
『そんな、すぐ見つかると思う?そんな奴に見える?』
『見える。』
即答だ。
『ひど〜んな、悪い奴じゃないんだけどなぁ〜』
『よく言うわ。私がフラれた時は、散々”次の男、誰かいないの?”とか失礼なこと言ってたのに。あ、10円ある!』
慌てて、おばちゃんに払う。それに続いて俺も会計を済ます。
『んなこと言った?』
『言った。』
教室までの道を歩きながら言う。
『…あ〜あ、ついに俺も一人かぁ〜加藤みたいになりたくはないと思ってたけど、まさか自分がなるとは…』
『ほっとけ!私はしばらくいいんです』
ふんっと、すねる。
『そう言って何ヶ月よ?』
『じゅ…十ヵ月ぐらい』
照れながら答える。
『うわぁ〜無理!俺、女の子いなかったら淋しくて淋しくて…』
ちょっと甘えた口調。
『あ、そ。じゃ誰か見つけたら?』
『いや〜そこは、”私が慰めてあげる”って言うところっしょ?』
『それはないわ』
きっぱりと答えた。結構キツイなぁ。
『…あ、あの子、瀧谷とかいう子じゃないん?』
前から数人のグループが歩いてくる。
なんで知り合いでもないのに俺が分かるんだよ。
『あ、本当だ。』
大して気にする様子もなし。
『あ、加藤先輩!こんにちは!』
向こうは気付いたらしく、かけ寄ってくる。
『よっ!』
よっ!って、おっさんか。
『さっきね、ちょっと有り得ないことがあった…』
そんな二人のやりとりを見て俺は先に教室に戻ることにした。

戻ることにした…?いや、違う。あの二人の仲良くしているのを見たくなかっただけなのかもしれない。
嫉妬?まさかなぁ…
でも瀧谷というやつ、あいつは加藤が好き。見ていたら分かる。
加藤は自分のことには鈍感だから気付いてないが…
じゃ、俺はなんなんだ…




不思議と晶と別れたことに、ショックはそれほど感じなかった。
でも、それは嘘だと気づくのはもうしばらく経ってからのお話。
あのことがあるまで気づかないとは、思いもしなっかった。


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