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アッチでコッチでどっちのめぐみクン
【ファンタジー 官能小説】

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アッチでコッチでどっちのめぐみクン-15

透明の洞窟の中をジョセフを先頭にした一行は前へ前へと進んでいった。
 洞窟の中は光に満たされていて、透明な壁の向こう側に何があるのかは全くわからない。
 そして光の先に緑色の風景が見えてくると、一行の足は自然に速まった。恵たち三人が三人とも息を呑む。
 そして出口に差し掛かった時、恵は身体にわずかではあるが痛みが走るのを覚えた。
「……痛……」
「……どうしたの? 恵クン」
 葵が恵の変調に気づいて声をかける。 
「……うん、なんかちょっと身体が痛くて……」
「……心配いりません。洞窟を抜ければ自然に痛みは治まります」
「……本当でしょうね」
 葵は相変わらず疑い深げにジョセフに聞き返す。
「本当でございます。どうかご安心を」
 ジョセフはそう言って一足先に洞窟を抜ける。哲太が辺りを眺め回しながらそれに続く。
 そして葵と恵が最後に洞窟を抜けると、透明な洞窟は急速に縮んで消えてしまった。
「ちょ、ちょっと! 帰り道が消えて無くなっちゃったわよ!?」
 葵が慌てて叫ぶ。
「ご安心を。お帰りの時には再び道を作りますので」
「……本当に、頼むわよ……」
 退路を失ってしまい葵の声に不安が混じる。

「ところで、ここはどこなんだよ」
 ずっときょろきょろと周囲を見回していた哲太がジョセフに尋ねる。
 葵と恵も辺りを見回すと、そこは一面の花畑だった。遠くには城のような巨大な建物が見えている。
「ここはアリーランド城の敷地内でございます。そして、あちらに見えるのがアリーランド城でございます」
「ひょお、でっけぇ〜」
 哲太が遠景でも巨大とわかる城を眺めて驚きの声をあげる。その一方で葵は顔を真っ青にしていた。
「どうしたの、葵ちゃん? 顔色悪いよ」
「……ううん、何でもない……それより、恵クンはもうどこも痛くないの?」
「うん、もうなんともないみたい……」
 恵は自分の身体をぺたぺたと触りながら、痛みが去ったことを確かめる。
 葵は恵の言葉に少し安心すると、再び周囲に目をやる。

 ……ここって、夢で見た場所にそっくり……
 葵が夢で見た恵の姿を振り払おうと頭を振ったその時、
「ひっ!?」
と恵が短い叫び声をあげたのを聞いて慌てて駆け寄る。
「恵クン、ど、どこか痛むの?」
「うあああああああ……」
 恵は錯乱したかのように低く長い声を発している。
「ちょっと!? 恵クン、しっかりして!」
「あ、葵ちゃん、ボ、ボ、ボク」
「ど、どうしたの!?」
 葵が恵を落ち着かせようと恵の身体を抱きしめる。
「……え?」
 その瞬間、恵から伝わってくる予想外の感触に葵の動きが止まる。

 ……めぐみくん・の・むね・・・やわらかい?
 めまいがしそうになる葵の耳に恵の声が追い打ちをかけるように聞こえてくる。
「あ、葵ちゃん、ボ、ボク、女の子になってるう!?」

 直後、葵はさっき振り払おうとした悪夢の中で、自分が叫んでいた言葉をそのまま繰り返してしまった。

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 第4話 おわり




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