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アッチでコッチでどっちのめぐみクン
【ファンタジー 官能小説】

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アッチでコッチでどっちのめぐみクン-1

第1話 『こっちの世界のめぐみクン』


 とある世界のとある国に建つ巨大な古城。
 その古城は、一見西洋風でありながら、所々に西洋風とも東洋風とも言えない独特な造りを見受けられる。
 古城の周囲は深く幅の広い堀で囲まれ、さらにその外側には星の数にも負けないだけの花が咲き誇っている。
 そのうちの一輪が窓際に飾られた、城内でもあまり日の入ってこない一室に、小声で話す二人の男がいた。
 一人は藍色を基本とした堅苦しい服装の青年。
 そして、もう一人は真紅の燕尾服を着た白髪の老人……

「……新しい父上の様子はどうだ?」
「はい。まだ少々取り乱してはおられますが、いずれ落ち着きを取り戻されるでしょう」
「まったく、何が気にいらないんだか。国王になれたのだから素直に喜べばいいではないか」
「……おそらく無理かと」
「なぜだ? 私だったら国王になれたら大喜びするぞ」
「……人それぞれではないかと」

 ……………

 一方こちらは、現代日本のとある高校の放課後の屋上。
 二人の生徒が向かい合わせに立っていた。
 片方の生徒が口を開く。
「何? 哲ちゃん。こんなとこに呼び出して」
 不思議そうに目を見張り、もう一方の生徒の答えを待っている。
「……あ、ああ、恵(めぐみ)、実はな……」
 哲ちゃんと呼ばれたその少年がなんとか固い口を開く。
「なんか哲ちゃんらしくないよ。そんなに口ごもるの」
「い、いいから黙って聞いてくれよ」
「……う、うん」
 少年の必死な態度に圧されて、恵は軽口を慎む。
「お、俺達、幼なじみだよな?」
「……うん」
「い、今までいろいろとお互いのことを、教えあってきたよな?」
「……うん、そうだね」
「で、でもな。俺、恵に今の今までずっと内緒にしていたことが……その、あるんだよ」
「内緒にしていたこと?」
「そ、そう、ずっとお前に言わずにいたこと……」
「……それ、ボクに聞かせられないような話?」
「……ずっとそうだった。でもな、もう限界なんだ、黙っていられないんだよ! お前に聞いてほしいんだ!」
 少年の言葉が熱を帯びてくる。
 恵はその勢いに圧倒されて少し後ずさりしそうになるのをなんとかこらえた。
「あ、あの、で、何?」
「……」
 恵がおそるおそる聞く。少年は唇を真一文字に結んだままうつむいた。
 その様子は打ち明けるのに相当な覚悟を必要とすること
を恵に容易にわからせる。
「て、哲ちゃん。あのぉ、言いにくいんだったら無理しなくても……」
 恵のその言葉は逆に少年に覚悟を決めさせた。
「……いや! 言う! そのためにこんなとこまでお前を連れてきたんだからな」
「……そ、そう……で、その……何?」
「……実は俺……」
 少年の真剣な表情に、思わず恵の方まで緊張してくる。
「俺……お前のことが好きだ!」
 恵は頭の中が一瞬白くなるのを感じた。
「……は?」
「だから……俺は藤沢恵のことが好きだ!」
「……」
「……もちろん、友達として、なんて意味じゃない」
「……あ、あのさ……」
「わかってる! わかってるよ、お前の言いたいことは。でもしようがないんだ。お前のことが好きなんだよ!」
「……」
 少年の言葉がどうやら本気らしいと知ると、恵はそれ以上何も言えなくなってしまった。また少年の方も黙り込んだ恵の次の言葉が怖くてそれ以上何も言えずにいた。
 この沈黙を破ったのは校内への出入口から姿を現した第三の人物だった。


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