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お見合い、それから戸惑い
【純愛 恋愛小説】

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戸惑い、そして想う-2

 そんな生活が、こうして一年以上続いている。彼は相変わらず忙しく、私も変わらず掃除をして買い物をして彼を待つ。カードの使い道は今だにわからない。そして私達には一緒に過ごす時間が無く、会話も無い。
テツヤさんとお見合いした日、ショーウィンドウに映る自分の見慣れない姿に感じたあの気持ち、全身がちくちくする感じはいつもしている。
寂しい?物足りない?…けれど、それはやっぱり私にはわからないまま。



 そんな日々が変わり無く続いていたある日、一本の電話がけたたたましく鳴り響き、この静寂を破った。
「もしもし?」
「こちらN山病院です。奥様でいらっしゃいますか?」
―病院?…何で?いつもの掛り付けの病院でもないし…。

ゆっくりと心臓の鼓動が大きくなり、脈が早まるのがひどく感じられる。そんな事にはおかいなく、電話の相手は口を開く。
「先程、前田テツヤ様が会社で倒れ、救急車でこちらに搬送されました。」
―テツヤさんが!?
「それで、テツヤさん…夫は!?」
「命に別状はございません。ただ一応検査入院という形になると思いますが、詳しい説明は担当医師の方からさせて頂きますので、こちらにおいで下さいませ。」

電話を切ると、急に頭の中が真っ白になった。
―テツヤさんが倒れた…。どうしよう、どうしようどうしよう!!
病院、そうまず病院に行かなくては。必要なものは…ええと、必要なものは…。落ち着かなきゃ、ちゃんと落ち着いて。命に別状はないんだから、ちゃんと落ち着いて…。

テツヤさんの保険証と…あとはお金…。いくらぐらいいるんだろう…。
カード、そうだカード、テツヤさんに貰ったクレジットカード!!

 私は保険証とカードをバッグに放り込んで、車のキーを引っ掴み、家を飛び出した。


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