投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ふたり
【幼馴染 恋愛小説】

ふたりの最初へ ふたり 49 ふたり 51 ふたりの最後へ

ふたり【大・波乱・結】〜波乱が招いた‥‥あかねとのキス〜-5





俺はあかねの手をとって走り出した。


「ちょっ、お兄ちゃん!?まだエリカがトイレにーー」

成程……そういう事か

「いやっ、いたんだ。あれは確かにエリカだった…! 」

あかねは本当に〜? と言いながら、決して遅くはない俺のスピードに必死でついてくる。

人を掻きわけ、校門を飛び出す。
がしかし、視界にエリカの姿が飛び込んでくる事はなかった。

あかねはツラそうだ。それに、これ以上走っても無駄かもしれない。
俺達は、歩いて帰ることにした。
この時は気付いていなかったが、繋いでいた手はいつの間にか離れていた。
エリカの事ばかり考えていた俺は、そんなことにも気付けなかった。

不意に、右の手を引っ張られて俺は止まる。
振り向くと、あかねがスカートの裾を掴んで下を向いている。


「‥‥ごめんなさい」

どうした、と聞く前にあかねの口から洩れる。消え入りそうな声。
俺は驚いて何も言えなかった。


「やっぱり‥‥怒ってるよね‥‥」

話の流れが読めずに「え?」と聞き返す。

「だって‥‥何回話しかけても答えてくれない‥‥」

グスッ──

下を向いているから確認できないが、恐らくあかねは泣いている。
手だって震えている。

「ごっごめん、あかね! 俺──」

「──怒るよね。‥‥だってお兄ちゃん、あかねよりっ‥‥エリカのがっ‥‥好きなんだもんね‥‥! 」


衝撃だった――。
まさか、あかねの口からそんな言葉が出るとは――。

あかねはついに声を上げて泣き出した。俺は泣きじゃくるあかねを抱き締める。‥‥抱き締めるしかなった。

「馬鹿なコト言うな…‥」
「そんなことない」とは言えなかった。
だって、俺は自分の本当の気持ちが分からなかったから‥‥…―
         続く


ふたりの最初へ ふたり 49 ふたり 51 ふたりの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前