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ふたり
【幼馴染 恋愛小説】

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ふたり【波乱、のち○○】〜遊輝は愚か者!?〜-1

――ごめんなさい‥‥
あかね、馬鹿だね。変なコト言っちゃったね――

あかねは嗚咽を洩らしながら腕の中でそう言った。


ふと顔を上げれば満開の桜。
その遥か上には透き通るような青色の空。


馬鹿は‥‥俺だ。

ほら、こんな綺麗な景色にも気付かないくらい‥‥
あかねがどんな気持ちでいるのかも分からないくらい‥‥
自分の事ばかり考えて‥‥
周りが‥‥ふたりが見えなくなって‥‥

‥‥なにが『ふたりを守る』だ‥‥俺にはふたりを好きでいる資格すら無いじゃないか。



「あかね‥‥ごめんな。‥‥俺、強くなる。‥‥強くなるから」

もっと、ずっと、強くなるから。
襲いかかる全てから守ってやれるように。
今の俺にできるコトはこうして優しく抱き締めてやる位しかない。


目の前を一枚の桜の花びらが横切っていく。
俺はそれを目で追いながら、心ではエリカを想っていた。



「お兄ちゃん、ごめんね」
あかねが顔を上げて言う。

「あかねが謝るコトなんて無いよ」

「でも、ウソついちゃったし‥‥あんなコトしちゃったし‥‥」

「しょうがないよ。ああしなきゃふたり共、危なかったかもしれないし」

固まってしまった俺が悪いんだ。弱い俺が悪いんだ。

「全部俺のせいだ。ごめんな、あかね」

全部背負いこむ。俺の悪い癖か。
‥いや、それでも全部背負いこんでみせるさ。ふたりのコトなら。

「‥違うもん! 悪いのあかねだもん!」

「いや、あかねは悪くない」
「あかねが悪いの!」
「俺が悪いんだ」
「あかね!」「俺!」「あかね!」「俺!」

――ははっ、まるで子供のケンカだ。

「‥フフッ」
人差し指で涙を拭いながらあかねが笑った。


「‥‥大好き。お兄ちゃん」



‥‥‥ −‖:


「ただいま〜〜〜」

あかねがいつもと変わらない声で言う。
この時間では、あや姉はパチンコに行ってるはずだ。案の定、けたたましい出迎えは無い。

あかねは真っ先にリビングに向かった。俺もそれについていく。


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