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ふたり
【幼馴染 恋愛小説】

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ふたり【大・波乱・結】〜波乱が招いた‥‥あかねとのキス〜-4

「先輩! 先輩の好きな人ってその人ですか?」
また聞き覚えのある声。
よく見ると集団の半分は俺に告白してきた子達。
そしてもう半分は3年生。
「東原。お前、その子とどういう関係なんだ?」
その3年生が聞いてくる。
従兄妹、と言いかけたが少し考えてみる。

それを聞いてこの人達はどうする気か……?
ただの従兄妹と言ってしまっていいのか……?


『どうなんだ!?』『先輩、答えて下さい!』『どういう関係なんだ!?』
野太い声と黄色い(?)声が交錯して俺達に襲いかかる。
それに誘われた野次馬が取り巻きを大きくする。
その状況に俺は更に混乱して、口が開かない程に固まってしまっていた。


突然、あかねが俺の胸の辺りに手を回し横から抱きついてくる。
かと思ったら、あかねは想像もしなかったことを叫んだ。

「付き合ってるの!!」

あかねは体を震わせ、目をギュっと瞑りながら叫んだ。
取り巻きがザワつく中、あかねは更に続けた。

「あかねとっ!‥‥ユキはっ! 付き合ってるの! 恋人同士なの!!」



あかねが俺を初めて名前で呼んだ。
頭の中でさっきの言葉が繰り返される。


グイッ──

首を引っ張られる。


……‥!

一瞬の出来事だった。
気付いた時には、俺とあかねの唇が重なっていた。
押し付けられただけの、キスとは言えないようなキス。
本当にあっという間の出来事に、俺は状況が呑み込めない。


「これが‥‥証拠。」


‥気付けばあかねは俺の隣でこう言っていた。
取り巻きは押し黙っているが、後ろにいる野次馬からはザワザワと話し声が聞こえる。

その取り巻きの中に、俺はいるはずのない人を見付けてしまった。

目を疑った……

あれは確かにエリカだった。
‥‥過去形の理由は俺がエリカを見付けた時にはもう、そっぽを向いて走り出す所だったからだ。

頭の中を疑問符ばかりが巡る。
そんな中、集団のうちのひとりがハァーッと大きく息を吐いた。

「分かった。 手、引くわ。‥‥狙ってたけどな。」
そう言った3年生は、集団を掻きわけて下を向きながら校門へと歩いて行った。
それにつられるように一人、また一人と集団がバラけていく。

半分は肩を落として、もう半分は何事も無かったかのようにその場を離れていく。


この瞬間から、遊輝とあかねを狙う輩はいなくなった。
彼らを襲った:表向きの:大波乱は3日で幕を閉じたのであった。


【大・波乱】
終わり


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