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記憶のきみ
【青春 恋愛小説】

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記憶のきみ2-4

気付けばもう夕方になっていた。
「じゃあ解散だな。今日は楽しかったよ」
灰慈がニコッと笑って言った。
「俺も」
青空も爽やかに笑う。
『ああ、俺も』
俺も続けて言う。
「うちもー♪」
葵が手を挙げる。
「うん!楽しかった!」
由貴も笑顔を見せる。
「………」
俺は隣にいる悦乃に問いかけた。すごく自然に。
『……楽しかったか?』
悦乃はハッと驚いた顔を見せた。しかし、すぐにはにかむ。
「うん!楽しかった!」
『……そっか。よかった』
俺が笑う。なんか久しぶりだ。
「あ…笑った」
『……そりゃ俺だって笑うよ』
「……そうだよね!」
悦乃がまた笑う。つい見惚れた自分がいた。
『……おう』


彼女の正体は結局思い出せなかった。
でもいいじゃないか。
こんな眩しい笑顔を見れたのだから。


こうして瞬と悦乃は出逢った。

しかし、大恋愛はまだ始まりにすぎなかった。

俺がこのとき、悦乃のことを思い出せていればよかったんだ。


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