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記憶のきみ
【青春 恋愛小説】

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記憶のきみ2-3

ちょうど昼の時間と重なったため、ファミレスは大勢の客でごった返していた。
とりあえず、全員ドリンクだけを注文し、自己紹介タイムに入ることになった。
こういう司会や幹事などの仕事は、もちろん灰慈の独壇場である。
外見的にも内面的にも、かなり適任だ。
「じゃあ俺からいくわ!冬堂灰慈!某立大学一回生!よろしく♪」
灰慈は得意の営業スマイルではなく心からの笑顔を見せた。
「ええっと、樋青空、同じく某立大一回生で、体育教師目指してますよ。よろしくですよ」
後半から日本語おかしいぞ青空。
続いて俺が席を立つ。
『………常葉瞬、某立大一回生……よろしく』
俺は相変わらずこんな感じ。
「えーっ!三人とも某大なんだ!うちらもだよー♪」
葵が元気に言う。
「えっマジで?見たことない?俺ら。いつも連んでんだけど」
「ないかなぁ…学部はどこなんですか?」
最初からなぜか敬語の悦乃。まだ定期の件を気にしているのだろうか。
「まぁみんなバラバラなんだけどね!俺が法医学部、青空が教育学部、そんでそっちの無愛想が経済学部♪」
灰慈が俺をからかいながら言う。
「うちらは三人とも法学部なの♪」
「へぇ、じゃあ将来は弁護士さんとかなんだ。なにかあったときはよろしく頼むね」
青空がまたおかしなことを言う。
「青空くん、おもしろいねー」
由貴が笑った。
なんか由貴はいつもしかめっ面だった気がする。ここ何年で笑顔を身につけたのだろうか。こんなこと言うと殴られるが。
『ああ…それなりに。お前は?』
「元気だったわよ。もう三年振りくらいね」
『そうだな。懐かしいな……由貴さ、綺麗になったな』
「……え?」
お世辞なんかじゃなかった。由貴は、中学時代よりもすごく綺麗になっていた。見違えるほどに。
「………もう!ばーか」
『……うっせ』
「ふふ」
昔もこんなだったな。何でも相談したり、バカ言い合ったり。これ以上言えばいつも殴られてたな。
「ねぇー!由貴ちんと瞬くんって付き合ってたの?」
葵がニヤニヤしながら間に入ってきた。
『……あ?』
「ちょっと!」
「マジで?」
「うっそー!」
「………え?」
そりゃみんな驚くわな。だが無実だ。
『悪いけど付き合ったことはないな』
「………そうよ!!なに言い出すの葵!」
二人で全否定すると、灰慈がケラケラと笑う。
「わかってるけどよ、由貴ちゃん顔真っ赤だぜ」
「うっ…」
おいおい由貴、頼むぜ。
「まぁまぁ、それはこれから暴いていけばいいじゃない!それよりいろいろ話そうや」
「そうよ!」
『……』
青空のナイスフォローでその場は落ち着いた。さすが青空。

その後は連絡先をおしえ合ったり、騒いだり、普通の合コンとなんら変わりない状態になった。
しかし、とても充実した時間を過ごせたと思う。


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