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【瞬間】
【初恋 恋愛小説】

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【瞬間】-1

私はまだ気付いていなかった。
この先起こる全ての出来事に、何の予想もできていなかった。



その日は休日で、いつもの様に友達と公園で遊んでいた。女の子3人に男の子4人。男女関係なく、皆が仲良かったからよくこうして遊んでいた。
夕日が街を暁色に染める頃誰かが言った。
「んぢゃぁ〜そろそろ帰ろっかぁ!」
「そだね☆ぢゃぁまた明日学校で!」
あちらこちらで
「ばぃばーぃ!また明日学校でねぇ♪」
という、どこにでもある、ごく普通の別れの言葉を交わした。

この瞬間…そう、この瞬間まで、まさかこんな事になるなんて思いもしなかったんだ。

私は同じ方向に帰る彼と自転車を並べながら帰り道を急いだ。他愛もない話しをし、いつものようにバカ騒ぎをしていた。彼とは幼稚園の時からの付き合い。もう一体何年になるんだろう…なんて事を考えながらいたら、彼との別れ道に着いた。
いつものように言う。
「じゃぁねー☆また明日」それに答える彼。
「ぅん!また明日〜。気を付けて帰れょー」


この【瞬間】恋に落ちた。

彼のイメージはTHE!クール!!ずっと一緒にいたつもりだったが、何故か今まで彼と交わした言葉は何一つ覚えていない。不思議な事に、私たち二人の言葉の記憶はこの日から始まっている。
そんなイメージの彼だったから、まさかそんな優しい言葉をかけてくれるなんて…想定外だった。


完全にやられてしまった。こんな事ってあるのだろうか?今私には他に気になる男の子がいるはずなのに…いたはずなのに…たった一言でこんなにドキドキしている。
(ヤバイな…)
彼に手を出す訳にはいかなかった。彼を好きだという子の応援をしていたから。

でも、止まらなかった。
止められなかった。

(人を好きになるって、こういう事なんだ…)
初めてわかった。今までの恋は子供が抱く幻想だと。

結局応援していた友達は彼に告白をし、断られた。
「好きな人がいるから」
と…。

(よかった…)
最低な私はそう思ってしまった。悲しんでるのに、目の前で友達が泣いているのに、(彼が好きなのがこの子じゃなくてよかった)…思ってしまったんだ。


ごめんね。





どうしようもない位、最低だったね。


彼女が告白をし、断られてから1ヵ月程経ったある晴れた日…私は決意を胸に電話をかけていた。
当時は携帯電話なんて普及しておらず、電話ボックスが近所にあった。自宅で電話をするわけにはいかない。


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