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ふぉあしー
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ふぉあしーB〜黄昏に揺れる影〜-2

「まあ、いいわ。行こ、駆?」
「駆、さっさと行くわよ!」

咲姫先輩は俺の右腕を、恵は左腕をそれぞれ取って入場口へ歩き始めた。

「ち、ちょっと待て!」

俺をなかば強引に引きずりながら。

なんでこんなことになったんだ?

話は数日前に遡る。



宇宙空間を飛んでいるスペースシャトル。
その横を飛んでいる、というかむしろ泳いでいるのは…数頭のイルカ!?
もちろんただのイルカではない。
人語を操り、宇宙という海を気ままに泳いで過ごす宇宙イルカという種族だ。

地球上で言ったら、船の周りをイルカが楽しそうに踊っているというこの平和な光景を一発の銃声がぶち壊した。

シャトルのクルーだろうか?
恐怖に怯え、逃げ惑う声が聞こえる。
しかし銃声はその声を無視するかのように増え続け、それとは反対に人々の声は徐々に減っていく。

そして最後の一発がシャトル内に響き、クルー全員が最期を迎えた。

クルーを失っても慣性で飛び続けるシャトル。
周りでは何も知らない宇宙イルカが無邪気に泳いでいた。

そこで俺の目は覚めた。

「ん……今のは夢か…」

いや、待てよ…
『未来』の可能性も…

俺がたまに『視る』未来は寝ている時に現れることが圧倒的に多い。
この間みたいに覚醒時にに『視る』ことは稀だ。

だから未来を『視』始めた頃は夢と区別がつかなかったものだ。

でも今回は…

「いや、ないな。こんなSFチックなことが現実に起こってたまるか!きっとあれだ。昨日見た映画『ギャラクシーウォーズ〜復讐、それは鈍色の夢のように〜』の影響に違いない!」

人間の脳は寝ている間に視覚情報を整理するために夢を見るっていうしな。

というわけで変な夢のことは忘れてさっさと学校に行くか。



制服に着替えて家を出ると、玄関の所で恵が待っていた。

「おはよう、駆!」
「ああ、おはよう。じゃあ行くか」
「うん」

俺は杖をつきながらゆっくり歩く。
恵は俺の歩く速度に合わせて横を歩いてくれる。
どんなに俺が遅くても文句を言ったり、手を引っ張って速く行こうとしたりしない。


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