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ふぉあしー
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ふぉあしーB〜黄昏に揺れる影〜-1

今日は9月のとある日曜。

空には雲一つなく、気温もちょうどいい、過ごしやすい秋晴れの日である。

目の見えない俺が「雲一つない」なんて言えるのは、この澄んだ空気の匂いのためだ。
雲が出ている時の空気の匂いと出てない時の匂いは微妙に違う。
雲が出ている時の方が湿っぽい匂いがするんだ。
だからその匂いの強さで、雲量がだいたい分かったり、雨が降りだす瞬間なんかも感知できたりする。


ちなみに今俺がいる所は、先月オープンしたばかりの超大型テーマパーク『スペースマリンランド』の入場口前だ。

っていうかこのテーマパークのネーミングおかし過ぎだろ!
宇宙と海のどっちか一つにしろよ!

このテーマパークにはまだまだツッコミ所がたくさんある。

例えば今俺が手を触れている案内坂。
このテーマパークの紹介として、点字でこんなことが書いてある。

『大銀河スペクタクルイルカショーも楽しめるSF(スペース・ファンタジー)ファンタジーな世界へようこそ!』

『大銀河スペクタクルイルカショー』ってどんなイルカショーだよ!

SFって普通はサイエンス・フィクションのことなのにスペース・ファンタジーって何だよ!
しかもファンタジーって言葉ダブってるし!


と、まあこんな風に世の中の不条理、もとい『スペースマリンランド』の不合理を誰にともなく訴えていると…

「だ〜れだ?」

ひんやりとした手のひらで顔を覆われた。
俺の顔を覆った手の持ち主は…

「…咲姫先輩…目の見えない俺の顔を覆っても何の意味もないですよ?」
「気分だよ、気分♪かわいい女の子に『だ〜れだ?』ってされてドキドキするでしょ?」
「ええ、まあ……」

確かにドキドキしてますよ。
さっきから背中に押し当てられている先輩の豊かな双丘に、ですが。

「それにしても何であなたがいるの、恵さん?」

先輩は急に声色を変え、俺の横に立っていた恵に怪訝そうに声をかけた。

「私が来ちゃいけないんですか、河村先輩?」

恵は恵で咲姫先輩を軽く挑発するような口調で応じる。

「いいえ〜ただ私が誘ったのは駆だけなのにどうしてあなたがいるのかなぁと思っただけよ。でも残念ね。私が持ってるのはペアチケットだからあなたは入れないわよ?」

咲姫先輩は恵の挑発を軽くいなして、切札(?)を繰り出した。

「ご心配なく〜ちゃんとチケット持ってますから〜」

しかし恵は先輩の切札(?)に対して対抗策をちゃんと用意していたようだ。

ってな感じで二人の間に激しい火花が散っているように感じるのは俺の気のせいか?


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