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いつか、目の前に
【コメディ 恋愛小説】

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いつか、目の前に…… (出会い)-2

「休学してたって言ってたけど、やっぱり病気かなにかなの?」
ミナモの座っていた席の前の席に座り、彼女とちょうど対面する形で腰を落ち着けた。
「病気と言う訳ではありませんが、一時期は入院していたのは事実です」
「へー、大変だったね」
ミナモはほくそ笑んだ。
「ええ、それはそれは大変でした」
そして、少し淋しそうな表情を浮かべた。
「私も聞きたいことがあるのですが」
「どうぞどうぞ! 僕に答えられることなら何でも答えるよ!」
正直、あまり女の人と話した事のない僕は彼女に聞きたいことがあまり浮かばず、どうやって話をつなごうかと考えていた所だったりする。
「好きなお花はありますか?」
かわいい質問だ。確かに聞いてどうするんだ、とも思うがここは好印象を与えられるような花を……。
花を……。
!!
しまった! あまり花は詳しくない! 精々、チューリップとか桜とかヒマワリぐらいしか思い付かない。
「ひ、ヒマワリかな……」
「向日葵ですか!!」
ミナモは驚いた様子だ。 俺、変なこと言ったかな?
「理由は、何ですか?」
「えっ、えっと……」
ただの思い付きなんて言えないし、どうする。
教室には少し前から順々に登校して来た生徒達が各々の友人どうしで話をしている。
だが、俺はミナモとの会話に夢中で気付いていなかったが。
そんなことより、今はなんと答えるかが問題だ!
「ヒマワリってさ、夏の暑い日に一日中太陽の方ばかり向いているんだ。人間はさそんなことできないじゃない。だから、ヒマワリってスゲェーなって思うんだ」
わー! 何いってるんだ! 訳が分からん!
「一緒だ……」
小さな声でミナモは言った、俺は自己嫌悪している真っ最中だったため聞こえていなかった。
「向日葵の花言葉はご存じですか?」
「えっ、ちょっと分からないな」
ミナモは窓の外を流れる雲をみながら言った。
「あなただけを見つめている。 私の好きだった人も向日葵が好きでした。 北川君と同じような事を言ってた」
ミナモの声が振えた
「御手洗いに行って来ますね」
ミナモは素早く立ち上がるとこちらを見ずに駆け出して行った。
泣いていたのかな?
何か辛い過去があるのか、気になるが、聞く勇気などあるはずもなかった。


ミナモが戻って来たのはこのクラスの担任らしき人が来たのと同時だった。
そのため、ミナモに声をかけることができなかった。


〜続く〜


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