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記憶のきみ
【青春 恋愛小説】

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記憶のきみ1-2

『………明石…悦乃(あかしえつの)』
定期券には名前や年齢、駅の区間などが書いてある。
「区間はこの駅からだね、きっと落とし主はこの辺で探してるよ」
誰にでも優しい青空が呟いた。
「ん?瞬?どうした?なんで穴が開きそうなくらい定期見てんの?」
灰慈の言葉でハッと我に返る。
『………』
(なんだろう…この名前…覚えが…)
「知ってる人?同い年みたいだし」
青空は横から年齢を確認したようだ。
『………わからない。知ってる気がするんだ。だけど全く思い出せない』
「小学校とか中学のダチじゃねーの?」
『それさえもわからない』
なぜか困惑する瞬を見て、灰慈と青空は言った。
「じゃあ、探してみない?今も駅の構内を探し回ってるかも」
「そうだな。けっこう楽しそうじゃん」
俺は、なんとなくだけど、はっきりさせたかったんだ。
『………ああ』
迷わず3人はホームを歩き始めた。
それと同時に、電車は動き始め、すぐに見えなくなった。





この行動が、後に3人の運命を大きく変えていくとは、このときは思いもしなかった。


そして、瞬の記憶の片隅にある明石悦乃とは……


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