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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜金美花・返り咲き〜-12

『シャワー浴びてから………?』
………まさか。
だが、私が何か言う前にキシンは実に嬉しそうに笑った。
『あぁそうか、俺は抱き締めるだけのつもりだったけど………
アルネが言うならしようか♪』
失言だった………
まんまとキシンにHする理由を与えてしまったようだ。
ただ、私の方でもしたかったわけなのだから良いのだけど。
『………なんだか不愉快。』
むぅ、と不機嫌な私にキシンはニコニコとしながら見ていた。


『じゃあ、浴びてくるからここに居てね。』
ニコニコなキシンを一人部屋に置いて、タオルを片手に部屋を出る。

廊下を歩き出すと、シャナが現れた。
『ごめんなさいアルネさん、彼を入れてしまいました。』
どうやらキシンはシャナの許しを得ていたようだ。
『良いのよ、おかげで仲直り出来たから。
ありがとう、シャナさん。』
私の言葉を嬉しそう笑顔で応える彼女は、とても綺麗だった。
来た頃よりも、ずっと綺麗になった。
きっとこれからも綺麗になって行くのだろう、やっぱり紅様が羨ましい。
『私、これからシャワー浴びてくるわ。』
『あら、ご一緒したいですけどまだ仕事があるのですよね………』
残念な顔をしたシャナと別れて一人で浴場の脱衣所に入った。
そして服を脱いでカゴに入れて浴場に入る。
湯気がもくもくとして良く見渡せないが誰も入っていないようだ。
まぁ、まだ三時位なのだから入ってるはずない。

ゼロが温泉を堀当てたおかげで紅館は常時温泉に入れるようになっている。
そんな浴場の一角にある、囲いで覆われた個室に入る。
組あげ式でスイッチ一つで頭上から温泉が降り注ぐシャワー室だ。
個室にドアは有るが鍵は無い。
回りは木の壁があるが、下は足首が見える程度に隙間があるし、上は2メートルほどの高さしか無い。
早速スイッチを押すと温かいお湯が体に降り注いだ。
両手で身体中を隈無く洗う。
これからあることも考えて少し念入りに。
『………はぁ。』
思えば一ヶ月ぶりだ。
あの夜からずっと独りでもしていない。
ガラガラ―――
浴場のドアが開いた音がした。
誰か入ってきたのだろうか? いや、もしかしたら掃除だろうか?
ちょっと記憶を探るが掃除の予定は無い。
ということは誰か早風呂なのだろう。
『………?』
はて、湯につかる音がしない。
そのうちに私がいるシャワー室のドアが開かれた。
『―――なっ!!』
『やっ♪』
ば、馬鹿キシン登場!!
『き、キシン、ここ女湯よ!?』
だがキシンは気にする様子もなく個室に入ってきた。
しかもすでに全裸だ。
『大丈夫さ、まだ早い時間だし。
それにもう我慢出来ない………』
してよ、少し位。
しかし私の抗議は胸元にキスをされてただの吐息に変わってしまう。
『………本当に馬鹿なんだから………』
『あぁ、わかってる。 でもさ、恋人に馬鹿は酷くないか?』
キシンの手が私を強く抱き締める。
明るいからわかる、キシンのガッチリした筋肉質な体。


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