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Story
【推理 推理小説】

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2nd_Story〜月灯りと2本の繋がる手〜-2

「はい、ここが談話室」
そこには、開けるのも惜しまれるような立派なつくりの扉があった。家の中にあるのがそもそも怪しいつくりではあったが、豪邸の中だと違和感がない。これが噂の豪邸マジックの1つである。
3人は扉を開け談話室の中へと入っていった。

部屋の中には既に6人程、白の誕生日を祝う為に集まっていた。各々に会話等をしている。白の話によると、里紅達が最後の客らしい。集まったとは言っても元々この家に住んでいる人達なので、普段とは変わらないと言ってもいい。
時刻はPM6:30
窓の外は未だに明るさを保っている。


2.紅い絵の具

PM7:00
誕生日会を始める旨を述べた、白自身による挨拶が終わり、談話室に料理が運ばれる。部屋の中央に置いてある細長いテーブルに10品程の様々な料理が並べられて行き、部屋中に食欲を誘う匂いが充満する。

バイキング形式で進む食事に舌鼓を打っていた里紅に、黄依がコソコソと話しかける。
「ねぇ、誰が誰だか教えてほしいんだけど」
「ん?あぁ…そうだな」
フォークに刺していたレタスをムシャリと食べてから里紅が答える。
「え〜っと…今皿に鶏肉を盛ってんのが、白の伯父さんだろ。んで、ソファに座ってんのが白の伯母さん。あそこで二人で話してんのが白の両親だ。白と話してんのは、従姉妹の妹の方……そう、あの髪が長い方な。んで、髪が短い方がその姉」
「ふーん。あっ、これウマっ」
既に興味を無くした黄依は、皿に盛ったステーキっぽいものに目を輝かせている。
「ったく、自分で聞いたら最後まで聞けっての…」
そう呟いた里紅の言葉すら聞いていない。その時白がやって来た。
「どう?料理は食べてる?」
「ん、まぁな」
にこやかに話しかけてくる。黄依はいつの間にかいなくなっていた。
「どうもお久しぶりです」
そう話しかけてきたのは、坂本絵里<さかもと えり・女>だった。先程白と話をしていた、従姉妹の姉妹の妹の方である。
「おぅ、久しぶり。どう?高校には慣れた?」
「…はい」
その微笑みはどこかぎこちなく、それを見た里紅は朝の会話を思い出していた。

「あ、そう…」
白が呟いた言葉を聞きながら寝ようとしていた里紅は、その次の言葉にむくむくっと体を起こした。
「もう1つあるんだよね…」
「…ん?何?」
目を擦りながら里紅が聞く。
「絵里の事なんだけど…」
「絵里ちゃん?どうかしたの?」
「何か最近変なんだよね…」
「変って?」
「うん、例えば、普通に二人で喋ってたら会話の途中でいきなりうつ向いて黙っちゃったり」
「そんぐらい普通にあるだろ」
「いや、そうかもしれないけど…、何か変って言うか…。他にも、今までそんなことなかったのに、部屋の中に鍵しめて閉じ籠っちゃったり…」
白がうつ向いてしまった。
「何か悩み事でもあるんじゃないのか?」
「…それで、彼氏としてはさ、どうにかしてあげたいじゃん?…それで里紅に相談したんだけど…」
「ん〜、俺は何も出来ないけどなぁ」
「うん、兎に角知っておいてほしかったんだ」
顔をあげ、申し訳なさそうに白が微笑んだ。
「…まぁ、何か考えとくよ」
「うん。ありがとう」
ふわぁと欠伸をした後、その言葉を背に里紅は寝てしまった。


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