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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第二章』-2

「例えば……どんな事を…?」
オレは千里の横に並んで歩く。
「例えば……かぁ。まぁ部活の助っ人をした事もあったし……学校の庶務的な事もしましたねぇ〜。」
千里は楽しそうに笑っている。
「で、今からバレー部の写真を撮影する仕事をしにいくんです。この学校、写真部がないから、僕の仕事なんだ。」
体育館に到着した。
「レシーブ!!!」
「おらぁ!しっかりとらんかいボゲェ!!」
「ん〜、今日もやってますねぇ〜。」
千里はデジカメを持った。
「女子バレーか。まぁ来週から県大会だからなぁ。」
「えぇ。その新聞を作る為に写真を撮影するんです。」
『パシャッパシャッ』
千里は順調に写真を撮っている。そして、何故かピタッと動きが止まった。
「………?」
どうも…レンズ越しに誰かを見ているようだ。シャッターを切る事もしていない。
「どうした?」
「あっ、………あぁそうですね。」
『パシャッ』
オレは視線の先を確認した。
その人は、身長175cmの春日高校のエースアタッカーだった。
恐らく、千里が隣りに並ぶとかなりの身長差になるだろう。あの有名なエースアタッカーは175cm、千里は高く見積もっても155cmも無いだろう。
「………惚れてんのか?」
千里がビクッと震えた。………わかりやすい。
「……やっぱり思うだけ無駄ですかねぇ?釣り合わないっすよねぇ………。」
千里はシャッターを切り続ける。
「んなこたねぇと思うぞ。」
千里はこちらを向かずに言う。
「………本当ですかぁ?」
冗談はよせ、とでも言わんばかりの声色だ。
「あぁ、お前も、あのエースアタッカー様も、同じ高校生だろう?」
そうさ。お前の悩みなんて、小さ過ぎる。
「……なんか元気出ました。」
一人のバレー部員が、千里に近付く。
「千里君〜〜、元気ぃ?」
なかなか可愛い女の子だ。こやつ、やるな。
「はい、元気ですよ。お陰様で。」
千里は微笑む。
「今日は臨時写真部?大変だねぇ。」
「まぁ楽しいですよっ。」
二人は笑っている。
「でさぁ……この人は?」
その女の子は、オレを指差した。千里は笑って言う。
「よろず部の新入部員です。」
「えぇっ!?」
な……何も言ってないぞ!?
「まぁまぁ。うちも今、人材不足なんですよ。入ってくれますよね?」
「う……ま…まぁ部活選びに困っていたところだしな。」
よろず部、入部決定………か?





オレは家に帰った。千里と、メルアドも交換した。
「秋冬っ、部活決めたの?」
姉貴が晩飯の途中でオレに聞いてきた。
「あ?ん………勧誘はされたから……まぁ決めた…かな。」
「ふーん……何にしたの?」
「……よろず部。」
「はぁ!?」
姉貴は、怒っているようにも見える。
「よろず部!?あんなの部活じゃないわ!!今すぐ考え直しなさい!」
今のはさすがに、酷いと思った。
「活動している以上部活じゃねぇか。だいたい姉貴にとやかく言われたくねぇ。」
「うるさい!他の……それこそ運動部に………!!!」
『ガシャーン』
オレは勢いよく立ち上がった。
「…んで姉貴がオレに指図すんだよ!!」
「姉だからよ!弟の事を思って………」
「弟ってなんだよ!!オレは弟だから姉貴に縛られんのか!?だったら………弟じゃなくていい!!」
姉貴は悲しそうな顔をした。
「秋……冬?」
「あんたの弟なんかに…生まれたくなかった……。」
オレは、ストンとイスに座る。姉貴は自室に行った。
「……ばかやろ。」
そうさ。弟じゃなくていい。
オレは、また迷いはじめた。


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