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『半透明の同居人』
【悲恋 恋愛小説】

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『半透明の同居人』-15

 「さて、リクと私達が育った地域には、幽霊に纏わるこんな言い伝えがありました。それは、幽霊三か条と言う変わったものです」
 幽霊三か条・・・僕が三つ目を思い出せなかったやつだな。
 「幽霊三か条
@幽霊は煙草の煙が嫌い」
 それを聞いて会場はどっと沸いた。確かにルイも煙草の煙が苦手なようだったな。気持ち悪くなるんじゃなくて、もっと、違う次元だとか言ってたな。煙草の煙が苦手なのは幽霊なのか、それとも、ルイ自身なのかはわからないが。
 「幽霊三か条
A幽霊は一度憑くと離れない」
 今度は会場が息を飲んだように低いどよめきがあった。
 「さて、いよいよ最後の三つ目ですが・・・」
 シンヤは勿体つけたように、間をおいた。僕もその間に三つ目を思い出そうとしたのだが、やはり、思い出せなかった。だから、それを聞くのは少しわくわくしていた。
 「幽霊三か条
B幽霊は・・・結婚すると消える
 さて、このように幽霊であっても、2人の固く結ばれた絆の前ではその協力な思念でさえも叶わずに、消えてしまうというもであります。それほどまでに、結婚は2人の愛が・・・・」
 シンヤの祝辞は続いているが、僕の耳は届いていなかった。それより、三つ目の内容が耳から離れなかった。
 
B幽霊は結婚すると消える

 確かにルイは一度憑くと僕の半径10メートルから抜けられないと言った。僕はそれはルイにとっての呪縛であるとも思った。そして、その呪縛は解けたものだと思っていた。しかし、それは間違いだった。ルイは僕の半径10メートルにいつもいたのだ。呪縛が解けるのは消えるときなのだ。彼女は僕が記憶を取り戻した夜に確かにこう言っていた。
 「私が出てこれたのは、自分の気持ちにけじめをつけることと、あなたの幸せを願って、見守ること・・・」と。
 ルイはこの2つの想いを果たしてやっと呪縛から解き放たれるのだ。
 そう。幽霊三か条の三つ目の僕が結婚することにより彼女はやっと自分の気持ちを整理してこの世の未練を拭い去って行ったのだ。それは、ルイがこの世に残した忘れ物をやっと見つけたことだった。
 僕はシンヤの祝辞が終わる頃には涙が溢れて止まらなかった。司会者が「新郎がご友人の祝辞に感動してようで、思わず涙が出てしまったようですと」言っていた。しかし、僕はこの涙が、感動や、喜びの涙でないことを知っていた。
 耳元でルイが「バカね」と少し笑ってささやいた気がした。


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