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『半透明の同居人』
【悲恋 恋愛小説】

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『半透明の同居人』-11


 僕は大学を卒業して、希望の会社に就職した。リカとの結婚も秒読み段階になった。この年の9月に式を挙げ、同時に籍を入れることになっていた。僕は入社してから、ほとんど休みをもらうことは無かったが、この盆休みに実家に帰るだけの休みが入ったのだった。
 正月は卒論で実家に帰れなかったから、約1年ぶりの帰省だった。相変わらず、僕は6時間電車に揺られて帰った。
 僕の結婚が決まったので、友達が飲み会を開いてくれると言うのだ。飲み会にはいつものメンバーが集まるとのことだった。今回もシンヤの家で行なわれる。
 シンヤの家にはいつのものメンバーがもう既に宴会の準備をして待っていてくれた。
 「よう。早かったな」
 そう僕に声をかけてきたのはシュンスケだ。
 「じゃあ、主役もお出ましのことだし、始めますか」
 僕らは料理やビールが乗ったテーブルの周りに座った。
 「それにしても、昨年結婚第一号かって話がこんなに早くに本当になっちまうなんてな」
 シンヤはビールをうまそうに啜りながら言った。
 「就職が決まったらって話だったからな、自分でも少し早いとは思うけど、両家の両親も了承済みだったしな」
 僕も一口ビールを啜る。よく冷えたビールは喉に苦味と炭酸の刺激がいつもより強く響いた。そうやって、僕の独身の日々が一つ一つ無くなっていく。結婚することに後悔はないが、十九歳の時の十代最後の夜と同じように何か寂しいものはあった。
 「そういえば思い出したぜ」
 シンヤがニヤニヤしながら言った。
 「何を?」
 「お前の初恋の相手だよ」
 確か昨年もシンヤはそのようなことを言っていたこと思い出した。僕自身は中2の時が初恋だと思っていたのだがどうやらそれは違うらしいのだ。
 「ちょっと待ってろよ」
 シンヤはもったいぶるように、立ち上がる自分の机の引き出しを探り始めた。周りの仲間もはやし立てるような声を出した。シンヤは引き出しから1枚の写真を取り出すとテーブルの上に置いた。
 「このコだよ。このコ」
 写真には小学生低学年の僕とシンヤが映っている。僕の隣には見知らぬ女の子立っている。見知らぬとは語弊があるかも知れない。正確にはどこかで見たことがある女の子だった。
 「思い出せないな・・・名前はなんていうんだ?」
 シンヤは少し考えたような顔をした。
 「確か・・・・変わった名前だった気がする」
 シンヤはさらに考え込むと、顔が思い出したような表情をした。
 「そう、ルイだよ!ルイ!」
 確かに僕はその名前に覚えがあった。半年前まで同居していた幽霊の名前と一致していた。
 写真をよく見ると、小学生の姿をしたルイの首には、僕が同居していた幽霊のルイと同じネックレスがかけられていたのだ。
 僕は自分の初恋がルイだったことよりも、僕がルイのことを忘れていること、そして、ルイが死んだことの驚きが大きかった。
 シンヤの話によると、僕とルイは小学生低学年の頃すごく仲がよかったようだ。親友のシンヤがある意味で嫉妬するくらいに、僕とルイはほとんど毎日一緒に帰っていたし、遊ぶのも一緒だった。小学生低学年のことだから、付き合うという感覚は無かったのかもしれないがまさしく、その姿は付き合うと同等のものに見えたらしい。
 「ルイと俺はその後どうなったのかな?」
 「お前本当に覚えていないのか?彼女、引っ越したんだよ、すぐに、確か小学3年に上がる前に」
 転校すると決まってから僕の元気が無くなってしまったらしい。シンヤ自身は、ルイが転校してから、自分と遊ぶ時間が増えたとかで嬉しかったそうだが、よく僕はルイの話をしていてその度に泣きそうな、悲しそうな顔をしたそうだ。
 「そういえば、転校して半年くらい経ってから、リクがルイの所へ遊びいくみたいな話をしてしたな」
 シンヤによると僕がルイに連絡し、ルイと遊ぶ約束したと言っていたようだ。その表情は次の日に遠足でもあるようなとても嬉しく、楽しみな顔だったそうだ。


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