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かつて純子かく語りき
【学園物 官能小説】

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かつてジュンかく語りき3-5

「帝のご就寝だな」
しっかし、タキタは呑むとスグこれだ。ある程度身辺整理してカラ寝てくれりゃあ、言うこと無いんだが。
テーブルの上を片付けようと起きあがると、頭が後ろにがくんと引っ張られた。
「みぎゃっ!?」
慌てて振り返ると、タキタの手がしっかと私の髪をワシヅカミにしていた。
「もォ……。行くトコなんて、ココ以外ないってのに」
起きている時には絶対見られない彼の素振りに、思わず笑みがこぼれる。ぎゅうと握られた指を開いてほどこうかとも思ったが、止めた。
セッカク私をつかまえていてくれるんだから、ワザワザその手を解かずともイィだろう。
「ふわ……」
なんだかタキタの顔を見ていると、私も眠たくなってきた。
あくび一つしてから、彼の横に寝転がる。すると、待ちかねていたように、タキタの腕が私を抱き寄せた。
「あ」
エアコンのタイマーをつけ忘れたことを思い出したが、もうアトの祭りだった。こんなに優しく柔らかくくるまれた状態で、身動きするなんて、私にはデキナイ。
そのまま、オチていこう。
「おやすみ、タキタ」
意外とぷにぷにしている彼のホッペに、触れるだけのキスをした。
陶器のように白い肌は、ほんのり桜色になっている。なんだか美味しそうだったので、思わずカプリとかぶりついてしまった。
「んあ……?」
いつもと違う感触に違和感を覚えたらしく、タキタがうっすら目を開けた。私はまだ、カミツイたままだ。
「……フムフ(スマヌ)」
やや沈黙があってから、タキタが口を開いた。
「いや〜、今……」
彼は動じず、眼鏡を外して眠たげに目をこすった。
「ジュンと一緒に、月に行ったところだったんですよ」
「そうか!」
私は思わず彼の胸に飛び込んだ。
君は、月までついてきてくれたんだな。
諦めなかったんだ。
「どうしましたか?」
急なことに、タキタは少し驚いたようだったが、私を優しく抱き返してくれた。
「アリガト」
再び眠りに落ちていくタキタの横顔を見ながら、私はキョーガクの事実を悟った。

いつから私は、こんなに恋するヲトメになっていたのだろうか。
同じものでも、君と一緒に見れば、触れれば。
すべてが、鮮やかに色づいていく気がする。
タキタと過ごすこの一時を、何よりも大事にしたい……、なんて柄にも無く思ったりしてる。
今も、明日も、これからもな。

ただ、私が「恋する乙女」であることは、もうしばらく秘密にしておこう。
今のトコロ、勝負は1対1で引き分けだからな!


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