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ゴロとボクら。
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ゴロとボクら。-3

「あら?今起きたの?」
と母は上機嫌。 
なんとか家族の一員として溶け込んでくれそうだ。 
おっと。もうこんな時間!会社に行かなくては。 
と我が家に少しの不安を残しながら会社へ向かった。 
会社でもゴロが頭から離れない。 
元気にしてるかなぁ? 
携帯の待ち受けまでもゴロになっている。 

落ち着かない社内での仕事はいつも以上に長く感じた。 

同僚からの誘いを断り、急ぎ家路に着いた。 

ゴロは無事だろうか? 

「ただいま〜!」
と家に入るとゴロは父の膝枕に甘えていた。 
コイツ… 
やるなぁ。 
と安心したのもまた束の間。 
待ち構えていた母が 
「昼間大変だったんだからね!」と睨みを効かす。 
昼間にゴロは大脱走を試みたそうだ。 
網戸が開いた一瞬をついて脱兎のように外へ逃げ去ったゴロ。 

しばらくすれば帰ってくるだろうとたかを括っていた両親も夕方になっても一向に帰ってこないゴロを心配して捜索してくれたそうだ。 
結局、庭に停めてある車の下で寝ていた所を妹が捕獲して、この事件は解決した。 
ゴロも外の世界が懲りたようで、それからは外には全く興味を示さなかったそうだ。 

世界に出ることは危険と遭遇することだ。 
護られた温室には僕もいつまでもいられない。 

その夜は僕もゴロも疲れ果ててすぐに寝てしまった。

そして一週間が過ぎてお別れの日がやってきた。 

今ではもう立派にゴロも我が家の一員だ。 

居間でゴロをみんなで囲んだ。 

父は少し涙ぐみながら 
「また来いよ!ゴロ。
いつでも来ていいんだからな。」 
ときつく抱き締めた。 
どこから仕入れたのか煮干しの詰め合わせを僕に差し出した。 
ゴロの頭を愛しそうに撫でながら別れを惜しんでいた。 
ゴロはそれを察したのか父のゴツゴツした指先をペロペロと優しく舐めた。 

母は 
「まったく気が休まらない一週間だったわ。」 
と憎まれ口をたたきながらもゴロを優しく抱き締めた。 
いわば母はゴロの母役であったのだから。 
ゴロは夜中に寂しくなると母の枕元まで行き、 
ゴロゴロと喉を鳴らして甘えたという。 
親猫に甘えられなかった分、愛に飢えているのだ。 
ゴロはなかなか母から離れようとしなかった。 
「もぅ困った子ね…」
と母も涙目。 

トコトン情に脆い両親だ。 
それはいつも厄介事に巻き込まれるこの馬鹿息子の僕にも受け継がれているようだ。 

ゴロとの別れを惜しみながら、みんなこの家族を乗せて走り去ろうとする車を見送った。 

家族の生き別れの現場を見るようだった。 

僕は飼い主の元へゴロを返しにいかなくてはならない。


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