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恋する日々
【学園物 恋愛小説】

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恋する日々〜磯寒菊〜-7

キーンコーンカーンコーン
「終わりだ、無駄な悪あがきをやめて解答用紙を集めろ」
ざわざわと騒ぎながら解答用紙を集める。
「…よし、これで全部だな。赤点なぞとったらただじゃすまないと思っておけよガキ供。以上、とっとと帰れよ」
物騒な事を言い残し教室を後にする担任の久留米。今日はテスト最終日なのでようやくテストが終わったと歓声をあげる者が大半であった。
「………」
「………」
「お〜い生きてるか?」
信太と理菜は二人仲良く真っ白になっていた。
「大丈夫…なんでしょうか?」
「返事がない、ただの死体のようだ」
「「誰が死体だっ!!」」
「おぉ生き返った」
「テストは終わった!勉強も終わりだ!騒ぎに行くぞ!」
「そうだそうだ!騒ぐぞー!」
自由を手にいれた二人はこれでもかというくらいにテンションがあがっていた。
「それは構わんがテストはどうだったんだ?」
「お蔭様で赤点は回避できそうだ」
「だから今日はアタシ達が奢っちゃうよ〜!」
「いいの?」
「これからも世話になるからな、むしろ奢られてくれ」
「スポンサーとの契約がついたしまずは飯食いに行くか!」
おー、と皆で声を合わせ教室を後にした。その後、日が暮れるまで遊び尽くしたのは言うまでもない。


数日後
「今日はテストの結果を返す。呼ばれたら取りに来い」
久留米が名前を呼び次々にテストが返却される。
「うへぇ相変わらず礼は全教科満点の一位か」
「当然だ。神那こそノルマはクリアしたのか?」
「勿論、28位だ。必死だからな」
「あやな、どうだった?私は今回は97位」
「私は6位」
「くはぁっ!レベルが違ぇ…こっちは奇跡の平均超えなのに」
「アタシ…ちゃんと勉強しようかな…」
誠達はテストを見せ合い互いに競い、健闘を称えあっていた。
「静まれ貴様等。いいかよく聞け、成績なんざどうでもいい。来月に覇王祭が開催される。気合いを入れてやれ、そして勝て」
鳳凰学園には体育祭が2つある。1つは秋に行われる龍虎祭。もう1つが来月に行われる覇王祭。龍虎祭は通常の体育祭のように学年全体が2つの組に分かれるのに対して、覇王祭は学年クラス単位で分かれて競うという特殊なものだ。更に内容が過激で毎年怪我人が大勢出るという。
「…あの気合いの入れよう、教師同士で賭けてるな」
「しかもかなりの高額みたいだな」
この久留米という教師は、授業の進め方や教え方がうまいという事で生徒からの人気はあるがどこでも普通に煙草を吸っていたり無断欠勤の常習犯だったりする不真面目な教師だった。
「あれでクビにならないのが謎だよな」
「そこ、黙れ。留年させるぞ」
他の教師なら冗談ですみそうだがこの人なら本気でやりそうだ…。
「おぉそうだ忘れてた。転校生がいたんだ」
転校生よりそれを忘れてたあんたにびっくりするわ…。
「待たせたな、入ってこい」
ガラッ…
久留米が合図をすると女性が静かに教室に入ってきた。教壇に着き黒板に自分の名前を書くと、くるっと振り向いた。
「はじめまして、佐藤由佳里です。両親の仕事の都合でこちらに来ました。よろしくお願いします」
少しウェーブのかかった腰まで届く長い髮。嫌味のない笑顔。十人中十人が頷く美少女であった。
パチパチと誰からでもなく歓迎の拍手をし始める。そんな中誠は拍手をせずに身動き一つしなかった。


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