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恋する日々
【学園物 恋愛小説】

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恋する日々〜磯寒菊〜-6

「いやぁ〜獅堂ん家は和むなぁ〜。次からテスト勉強はここでしようぜ?」
「工藤、そう毎回毎回来れるか。獅堂に迷惑がかかるだろう」
「迷惑なんて…私も楽しんでますからそうしましょう?」
「是非いらしてください。次はケーキを焼いてお待ちしますから」
「これ紗枝さんの手づくりなんだ」
…どうやら勉強会は次からはここで決定らしいな。ならさっきみたいな事にならんように気をつけなければな。…いかん、思い出したら顔が赤くなってきた。顔でも洗ってくるか。
「紗枝さん、トイレってどこですか?」
立ち上がりドアに向かいながら尋ねる。
「あ、ご案内します」
「道順を教えてくれればいいですよ。迷いやしませんよ」
誠は紗枝に道順を聞き部屋を出た。


「………迷った」
おかしい…道順通りに来たからその通りに行けば戻れるはずなのに。だいたい中がどこも同じ様な造りなのがいかん。あと迷子用に地図を置くべきだ。
誠は自分が迷ったのを棚に上げて一人ゴチる。そうしている間にも元の客室とは別の方向へ進んでいた。
「仕方ない…片っ端から部屋に入って誰かいたら案内してもらうか」
誠はやれやれといった感じで一つのドアに手をかけた。


一方こちらは客室。
「誠のやつ遅いな」
部屋を出てから20分程、そろそろ心配になり始めていた。
「これは迷ったね」
「私見てきますね」
紗枝は紅茶を作り直しに部屋を出ていたのであやなが誠を探しに行った。
「…どこに行ったんだろう?」
トイレにはいなかったから時間的にこの辺りにいるはずだけど…
おそらく誠がいるであろう場所を探すあやな。しかし、なかなか見つからずにだんだんと心配になっていた。
「……これならどうよ」
「ふむ、なかなかやるの」
探していると、とある部屋から聞き覚えのある声が2つ聞こえてきた。
「えっ…?この部屋は…」
まさかと思いつつも声のする部屋を開けた。
「ほい、この金とって王手!」
「むぅ…この手待ってくれんかのぅ?」
「待ったはもう3回使ったぜ?」
「むぅ…これで2連敗じゃの」
するとそこには誠と老人が仲良く将棋をしていた。誰かがいると感じ取った誠があやなの方へ振り向いた。
「おぉ、獅堂」
「何をしてるんですか…?」
「いやぁ迷って誰かに道聞こうと思ってここ入ったらこの爺さんがいてさ、つい話し込んじまって」
「ほっほっほっ、おかげで楽しい時間を過ごせたわい」
「俺も楽しかったよ。じゃあ俺戻るから、また将棋やろうな爺さん」
「うむ、次会う時は負けぬからの」
再会の約束をし誠とあやなは部屋を出ていった。
「…ふむ、なかなか良い男じゃったの」
誰もいなくなった部屋で老人は嬉しそうにそう呟いた。
「いやぁ面白い爺さんだったな。そういやあの爺さん誰なんだ?」
「えっ!?聞いてなかったんですか?」
部屋を出て客室に向かう途中の誠の質問に心底驚いていた。
「ああ。道聞いたらなんとなく世間話してさ聞き逃しちまったんだ」
「はぁ…えっとあの人は私の祖父なんです」
「…えぇ!?マジか!?」
老人があやなの祖父と知り先程までの上機嫌が一変し誠は慌て始めた。
「はい、マジです」
「うわぁ…やっちまった最悪だ…」
「大丈夫ですよ、祖父も楽しんでいましたし」
「だといいんだけどさ…」
フォローをするがそれでもなれなれしく接してしまったのを後悔する誠。
…でも、お祖父様が神那君と将棋をするなんて。よほど気に入った人としかしないのに…。
ちらっと横でまだヘコんでいる誠を盗み見るあやな。
…気に入ってくれたのかな?
そう思うと自然と頬が緩んでしまうあやなであった。


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