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恋する日々
【学園物 恋愛小説】

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恋する日々〜磯寒菊〜-2

「ふっ…!やぁっ!」
香織は誠自身を受けとめると膝を使いながら腕をぶんっとあげた。
「うぉりゃぁ!」
それに合わせ誠も高くジャンプをする。これもやはり長い付き合いの二人だからこそできる息の合ったコンビプレーなのだ。
パシィン!
コンビプレーにより高く飛んだ誠は見事ボールを掴んだ。
「わっ、取った」
「凄い…」
「よっしゃあ!昼飯ゲッ…!」
クンッ…
「と…!?」
あまりに高く飛びすぎた誠の足に、先程までバレーをしていた為まだ片付けていなかったネットがひっかかっていた。
「うぉっ!?」
「きゃあっ!」
グシャ!ズサァァァ!
体勢を崩した誠は顔面から落ち、そのまま滑っていった。
「神那君!?」
「だ、大丈夫ですか!?」
ピクリとも動かなくなった誠を心配して女子陣が集まる。
「これって先生呼んできた方がいいんじゃ…」
ガバッ!
「うわっ!?」
一人のクラスメートがそう言いかけていると誠は突然立ちあがった。
「うらぁ!取ったぞ!」
野球コートの方を振り向くといきなりそう叫んだ。野球コート側からは、よくやった、マジかよ、など両チームからの返答が返ってきた。
「だ、大丈夫ですか…顔?鼻血も凄い出てますよ?」
誠は顔中擦り傷ができ血が滲み出ており、さらに顔面から落ちたので鼻血がドバドバと出ていた。
「ん?おぉ本当だ。やれやれ…血は落ちにくいから洗濯が大変だ」
「洗濯の心配かよっ!」
怪我の心配よりも血がついた体操着の洗濯の心配をする誠に理菜がつっこむ。
「まぁほっときゃ治るだろ」
「そうだね、なかなかハンサムになったし」
「お前は心配をしろっ!」
「ほら、早く保健室行きなよ」
「へいへい」
香織に軽くあしらわれると誠は保健室に向かった。
「神那君も凄いけどかおりんも凄いね。目を見ただけであんな事しちゃうんだから」
「誠とは長いからね。なんとなくわかっちゃうんだ」
関心する理菜にたいした事ではないといった感じで返す香織。
「大丈夫かな神那君、すごく痛そうだけど…」
「大丈夫だよ、ああいう怪我はいつもの事だし。さ、そろそろ鐘が鳴るから片付けよう」
そういうと香織はバレー道具を片付け始める。互いになんでもわかりあっている二人を凄いと感じつつも少し複雑な気持ちになるあやなであった。


キーンコーンカーンコーン
4時間目終了の鐘が学園に響き渡る。それは昼休みの始まりの鐘でもある。昼休みは生徒達にとっての待ち侘びていたものであり、生徒同士の戦いの合図でもあった。
ガラッ!
ガラガラッ!
ダダダダダッ!
数々の教室の扉が開かれ主に男子生徒が食堂または購買部に向かって走りだす。目当てのパン、よい座席を得る為に我先にと走る。
「くそっ!出遅れた!しかも今日は人が多い!」
「今日は確か30食限定のSランチの日だからな」
その中に混じって誠達も食堂を目指して走っていた。誠達が先に行き席を確保し香織達は後から来る手筈になっていた。
「こうなりゃショートカットだ!信太!Sランチな!…とうっ!」
開いていた窓から飛び降りた。そこから行くと食堂はすぐそこであったが、誠達1年の教室は4階にあり常人なら大怪我をしてしまう。
「…ふっ!」
しかし誠は華麗に着地をし食堂に向かって走っていった。
「…ありゃ真似できんな」
「この学園もおかしいがあいつもおかしいな」
異常な行動をとった誠に呆れながら二人は食堂に向かい走り続けた。


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