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恋する日々
【学園物 恋愛小説】

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恋する日々〜磯寒菊〜-1

ズバァン!!
「ストラーイク!!」
校庭では1年参組が体育の授業を受けていた。体育教師が欠席のため生徒達は自習として男子は野球を女子はバレーボールをしていた。
「よっしゃ!後一人押さえりゃこっちの勝ちだぜぃ!」
「油断はするなよ」
くじ引きにより信太はピッチャー、礼はキャッチャーをしていた。
「がんばれぇ〜」
ライトになった誠は相手が打ち込まないのでやる気がなかった。
「オラが打ってやるべさ!」
バッターボックスにクラスメートの山田太郎(通称カッペー)が立つ。
「悪いがカッペー…押さえさしてもらう…ぜ!」
信太は全力で第一球を投げる。
「もらったベ!」
カキィーン!!
「………へっ?」
「阿保みたいにド真ん中ばっかり投げてれば打たれるだろバカ!!」
礼はマスクを外し打球の行方を見る。打球はライトに向かっていった。風が強い為にグングンと距離を伸ばしていた。
「チィッ…!!神那取れ!!」
「あんなん取れるかっ!」
打球は離れてバレーをしている女子のところまで飛んでいた。
「取ったら昼飯は工藤の奢りだ!」
「なんですとっ!?」
「絶っ対ぇ取ってやらぁぁぁっ!!」
信太は事前に相手チームと賭けをしており勝てばそれなりの額が入ってくる予定になっていたのを礼は知っていた。そして学生は奢りという言葉の前では従順になってしまうものなのだ。
「礼てめぇ!」
「負けるよりは安いものだろう?」
ギロリと信太を睨む。
「くっ、仕方ねぇ…」
礼は見かけとは裏腹に負けず嫌いであって、たとえ自習中のゲームとはいえ内心では勝ちたがっていたのだ。それをわかっており、なにより負けて賭け金を払う訳にはいかない信太は渋々了承した。


「それっ!!」
バシィン!!
「10−25、Bチームの勝ち!!」
「やったぁ!」
「えへへ、アタシ体使うのだったら得意だよ!」
こちらは女子陣。2チームに別れて試合をしていたようだ。理菜率いるBチームが勝利していた。
「…ぉぉぉおおおっ!!」
「…ん?あれは…誠?」
突如聞こえてきた声に視線を向けると猛スピードで誠がバレーコートに走ってこようとしていた。
「どうしたのかな?」
「なんか…凄い必死だね」
「多分…あれかな?」
空に飛ぶ打球を指差し二人に教える。
「くそっ!思ったより打球が伸びやがる!」
誠は予想よりも遥かに上回る打球に追い付けないでいた。ちなみに常人では到底無理な距離であった。
「このままじゃ昼飯が…おぉ!?あれは香織!!」
ふと目線を打球から前に戻すとそこには見慣れた友人がいた。
(香織頼む!!)
(嫌だよ)
(即答かよ!?)
(勿論)
(あれ取りゃ信太が昼飯奢ってくれるぞ!)
(任された!)
互いにアイコンタクトする事わずか0.1秒。知り合ってもうじき10年になる二人だからなせる技だ。香織は誠と向き合い腰を落としレシーブの体勢をとる。
「っしゃ!行くぜ!…だりゃっ!!」
誠は気合いを入れ左足で踏み切りジャンプし香織の手首に着地した。ジャンプしている最中に靴の右足だけを脱いでいたのは誠の香織への配慮であった。


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