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銀の羊の数え歌
【純愛 恋愛小説】

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銀の羊の数え歌−17−-3

「私はね、お母さんからきいたの」
真っすぐに僕を見つめながら、柊由良は言った。
「私にね、いいことがあったら数えるんだってさ。銀色の羊さん。だから私ね、藍斗センセと会えた日は一匹ずつ数えてるんだぁ」
得意げに言うと、彼女はさらにこう付け加えた。
「藍斗センセのこと大好きだからね」
よくもまぁ、そういうことをストーレートに言えるもんだと心底感心してしまう。
言われた方は今も耐え切れないくらいに動揺しているっていうのに。
だけど、そうやって好きなものを好きだとはっきり言える彼女はやっぱりいいな、
と僕は思った。男として彼女がどうこうという意味だけではなく、なんていうか人間としても、そう感じた。
柊由良の母親は彼女になんていいことを教えてあげているのだろう、と僕は強く思った。 銀の羊の数え歌。
それが本当に存在している数え歌なのかどうかは、正直言ってさっぱり僕には分からない。でも、この際そういうことは関係ないのだ。どちらにせよ、それで柊由良がこんなにも幸せそうな顔をしている。
それだけで十分だ。
「いいね」
と僕は素直な感想を言った。
「これからも、たくさん柊さんに会いにくるから。そしたら銀の羊を数えられるね」
僕から最後まで目をそらさなかった彼女は、本当に嬉しそうに、一つだけ頷いた。


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