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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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妻を他人に (11) 二度目の貸し出し-1

 翌週、Zは予定どおりやってきた。

 わざわざこのために、子どもたちのいない平日に休暇を取っている。いつまたあのときのような行為に至るのかとゆきの心はどうにも落ち着かなかったが、いざトレーニングが始まれば、Zの軽妙なトークに乗せられながらの適度な運動は心地よいものだった。これを毎日続ければ最近気になりはじめた肉のたるみもシェイプアップされるかもなどと考え、心も浮き立つ。

 Zの雰囲気も違っていた。相変わらず冗談を交えつつも前回と打って変わって真剣なZの横顔は、鍛え抜かれた肉体美と相まり異性としての好ましさを感じずにはいられない。この真剣さが女性にも発揮されれば文句なし、でもこの人に限ってそれはないよねなどと考えながらメニューをこなしていると、夫が「ちょっとトイレに行ってくる」といって中座した。

 リビングにはゆきとZが残された。

 二人だけになるとやはりそわそわする。Zの手はときおりゆきの腰周りや二の腕に添えられる。汗ばんだ肌にZのゴツゴツした手のひらが触れるたびに動揺してしまうし、ショートスリーブシャツにショートパンツというラフな出で立ちも三十八歳の人妻としては素肌の露出が少々多すぎたかもなどと、にわかに気になり始めてしまう。

 四つん這いの姿勢で手を前に投げ出し頭を下げるよう促されると、自然と尻を高く突き出す姿勢となった。きっとぱつんぱつんのヒップにショーツのラインが浮き出てしまっていることだろう。そうならないよう本当はTバックを着用したかったが、「行為」が行われる可能性があることを考えると色々と誤解される格好は避けたかったのだ。

 少し緊張しながら指示された動きをこなしていると、Zの手がゆきの尻の丸みにあてがわれた。
 これもトレーニングの一環なのだろうか――?

「Oさんは寝室に入ったみたいですね」

 Zの言葉はさりげない雑談といった響きであったが、ゆきの心臓の鼓動は一段階速くなる。
「俺が寝室に入ったらあとは好きにしていい」と夫から言われているのだ。
 まさか、このまま――?

 そわそわしていると、尻に触れていたZの指先がゆきの股間付近をかすめた。
 二度、三度、手のひらを尻に這わせ、男の指先は人妻の大切な場所をそっと撫でる。間違いない。うろたえたゆきは、体をよじり男の手を避ける。Zの手はその尻を追いかけ、触れるか触れないかの距離でショートパンツの上からゆきの大切な場所をなぞっていく。人妻の下半身にじんとした快感が広がる。

 だめ――。ゆきはその手を制し、上体をひねり振り返った。
 その口に、キスをされた。

「……んん……!」

 あっという間だった。ゆきの唇に、Zの唇が押し当てられる。
 いつの間にか、人妻の身体はたくましい男の両腕に抱き抱えられていた。もういちど、Zの唇がゆきに重ねられる。分厚くごつごつとした唇の感触は、夫とは違う異性とキスしているのだという自覚をゆきに強いる。
 股間に男の手が伸び、服の布地の上から女性の敏感な部分を的確に捉えた。

「……………………ぁ……っ!」

 思わず開いた口の中に、Zの舌が挿し込まれる。
 柔らかな薄紅色の唇が割られ、ゆきの口腔がまたたくまに蹂躙される。
「だめ……っ! ねぇ……」
 キスしながらも、股間への刺激は繊細かつ大胆に続けられている。小刻みに震えていたかと思えば、手のひらから指先まで巧みに使いちょうどよい圧迫を加えてくる。それはひと月前のあの日から、ゆきがずっと忘れられず欲していたものだった。
 だめ。気持ちいい――またたく間に頂へ導かれようとしたそのとき、股間への刺激が止まった。

 どうしようもなく沸き起こる掻痒感を認めたくない。でも――。
 ゆきの揺れる心境を見透かすように手淫が再開される。

「ぁあっ! だめ……っ!」

 今度こそ達してしまうことを覚悟したが、そこでまた責めは中断する。そんなことを幾度か繰り返した。崩壊していく人妻の理性。ゆきの上体はZの左腕に抱かれ、股間には右手があてがわれている。赤ん坊のように抱っこされた人妻の秘部からはすでに蜜が溢れ、熱く火照っている。愛液がショーツに染み出し始めているのがわかる。

 快楽と寸止めの狭間で揺さぶられ頭がおかしくなりそうなゆきに、Zがささやく。
「続き……してほしいですか?」
 してほしいに決まっている。でも人妻の自分がこんな質問に「イエス」と答えられるわけがないではないか。
 すでに到底引き返せない場所まで導かれてしまった人妻にとって、あまりに酷な最終意思確認。どう答えていいかわからず、ただ身悶えるゆき。
「やめますか……?」
 いじわるな質問をしてくるZを、怒りと懇願の入り混じった目で睨む。睨む人妻を宥めるように、Zの指が股間の割れ目をそっとなぞる。

 ああ。もう、だめ――。
 ゆきは目をぎゅっと瞑り、かすれて消え入りそうな声で言葉を絞り出した。

「パパは……ホントに戻ってこないんだよね?」

 それが、人妻の自分が口に出せる、最大限の「イエス」だった。
 ゆきの唇に、Zの唇が重ねられる。
 もう、抵抗しなかった。

  *


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