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金木犀の誘惑
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金木犀の誘惑-7

[大塚くん…]


突き出した大樹の腰下で、放心状態の恵子を抱きしめ、その唇をこじ開ける様に舌を潜らせると、自ら放った精液は、草原の芝の匂いと、ほろ苦い酸味の味がした…。

[惹かれ合う魂]

週始めの月曜の朝。
オフィスには清々しい朝の陽射しが注ぎ、
高鳴る電話の音、
忙しなく駆け巡る足音、大樹はそんないつもの朝の光景を見やりながら、マグカップに注がれた珈琲を片手に、独り自責の念に駆られていた…。


大樹の脳裏には、恵子が漂わす甘い金木犀の香りが離れず、そのオリエンタルでセクシーな香りは、記憶の断片で辿ろうとしても消えては現れを繰り返し、大樹の心に巣くうように取り憑いていた。

「平常心、平常心…」

独り言の様に自分に言い聞かせ、未処理のまま放置していた取引先からのアクセスメールに対応していると、
あっと言う間に昼時を迎え、社員が溢れる1階ロビーに降り立つと、
一際目立つ恵子の姿を捉えていた…。

そんな大樹の視線に気付いたのか、恵子は一瞬立ち止まると、微笑みを携えながら一礼し、居合わせた女性社員と共に、足早に社外へと消えていた。

高鳴る胸の動揺を隠せず、早めに昼食を切り上げた大樹は、早々とオフィスに戻り、一心不乱に午後の業務をこなしていると、後方に位置する窓から鮮やかなサンセットオレンジの夕陽が射し込め、パソコンのキーボードを叩く大樹の背中を、優しく愛撫するように撫で始め、一息にメンソールの紫煙を屈揺らせ、既に16時を過ぎた事に気付くと、夕陽の射し込める窓辺に歩み寄り、その温もりを全身で受け止めていた…。

眼下に望む新宿副都心。20年前と変わったのは、乱立する高層ビルの数だけで、優しい夕陽の温もりは今日も変わる事無く、張り詰めた大樹の気持ちを穏やかな郷愁へと誘うと、突然閃くようなフレーズが脳裏に浮かんでいた。

「サンセットオレンジ」

「オレンジカラー」

「柑橘の色…」

「金木犀の恵子の匂い」

偶然では無く、どこか不思議な必然を感じ、そわそわと落ち着かない気持ちでいると、胸ポケットの携帯電話が、ブルブルとヴァイブレーションしていた。

「もしもし…?」

「部長!大塚です…」
「今大丈夫ですか?」

「大塚君?」
「今場所を変えるから…」

空室と表示された商談室を見つけると、使用中のネームホルダーに挿し変え、慌てて部屋の内部へ開け入ると、外部から遮断する様に、慌ててドアの施錠をしていた。


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