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熱帯魚の躾方
【SM 官能小説】

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10月10日-1

 今日は、10月10日(水)。そう沙莉の二十五歳の誕生日だ。今日は、メディアの仕事も無く、珍しく15時から店に立っている。沙莉の愛想の良さもあって、店は繁盛している。
「お客さんも途切れたし、早仕舞いにしよう!」「はい!店長!」沙莉は頭がいい。秀才肌というより、天才肌だと思う。私の立場の使い分け方も、仕事の先を読む力も、長けている。人見知りだが、その分相手を良く観察し、記憶する。でも、本人に自覚は全く無く、臆病で優柔不断だ。
「今日、誕生日だろ!ちょっといい店予約してあるから。」「えー、嬉しいー!ありがとうございます!御主人様!」浮き上がるほど、上機嫌で閉店作業をしている。「えっと、何のお店ですか?服とか失礼のないようにしないと。」「ああ、フレンチレストラン。」

 タクシーを呼んでレストランへと向かった。髪にカーラーをかけ、メイクをしっかりした沙莉は、その辺のアイドル真っ青だ。運転手が何度もルームミラー越しに沙莉を見ている。恐らくは、アイドルか女優だと思っているだろう。
 沙莉の右手が私の左手に伸びてきた。握って指を絡めると、嬉しそうに私を見て、また視線を流れる景色に戻した。今日だけは、甘やかしてもいいかな。沙莉の大きな瞳を見ると何となくそう思ってしまう。

「Restaurant Bonnes Mares」に着いた。重い木の扉を開けると、タキシード姿の支配人に迎えられる。「いらっしゃいませ。菰田様。」鞄をクロークに預けて、案内されたテーブルに座る。背中が大きく開いたニットの黒い膝丈のワンピースは、左脚の付け根あたりまでのスリットと腰骨の上にも開いたスペースがある。
 最近の沙莉は、セクシーになったとフォロワーを中心にメディアでも話題になっている。以前はリスを思わせる小動物のような瞳をしていたが、今は妖艶というか艶のある瞳に変わった。調教前の淫蕩な瞳に変わっていく感じが、私には魅力的だ。
 男女問わず沙莉に視線が集まる。中には、カップルで来ているのに沙莉に視線が行き、パートナーが怒るペアもいた。
 私は、優越感を愉しむ。奴隷の評価は、ブリーダーが育て上げたペットの評価を遥かに凌ぐ。サディストとしての愉しみはそこにもある。
 真っ直ぐ見つめる沙莉の目線に支配人やソムリエが緊張する。「ワ、ワインはお任せがオススメですが…。」ワインリストから、シャンパンと好みのブルゴーニュのドメーヌの村名クラスのワインをオーダーした。
 最後のデセールの時に、お願いしておいた蝋燭の灯ったバースデーケーキが運ばれて来た。沙莉は、有名になり始めているので、スタッフ全員のバースデーソングは、遠慮してもらい。
 ソムリエと支配人に静かに歌いながら持ってきてもらった。「えっー、ありがとう!」涙ぐむ沙莉が無性に可愛い。薄く涙を流しながら、蝋燭を吹き消すと、店内の各テーブルから拍手が上がった。沙莉が立ち上がり会釈をする。
「御主人様、ありがとうございます。」「コラッ!外ではおじさんか店長でしょ!」「ごめんなさい。ついっ。」「沙莉が可愛いから、今日は許す!」潤んだ大きな瞳で私をじっと見つめている。吸い込まれていきそうな気がする。

 誕生日プレゼントは、物ではない。
「年明けに、二泊三日で温泉巡りしよう!」沙莉が両手で口を覆った。「えー、ほんとに?」「はい!これがプレゼントでいいかな?」二回頷いて、また瞳が潤んだ。「うっそー、夢みたい!」

 10日11日(木)

 沙莉の乗せて水族館へと向かう。一部、仕事を兼ねている。オリジナルのメダカサクラバイオレットを展示したいという依頼だ。水族館は熱帯魚マニアの溜り場だ。良い宣伝にもなるので、二百尾ほど提供することにした。
「店長、ほんとに提供するんですか?普通に販売したら10万円位になるのに…。」「商売にはね、損して得取れって、言葉がある。タダな変わりに提供元としてうちの店の名前を表記して貰うことにした。「それで、売れるんですか?」「水族館に年間パスあるの知ってる?」「そんなに行く人居るんですか?」「居るんだよ!毎週のように通い詰めるマニアとかね。」

 水族館に着いた。裏のバックヤードから納品する。館長と飼育担当者が出て来た。「本当に無料でいいんですか?」その代わりにサクラバイオレットの開発課程と提供元を水槽の下に表記して貰う約束にこぎ着けた。
「どうぞ良かったら、色々と見て行ってください。」入館チケットを二枚貰った。
 一般の駐車場に車を停めて、ソフトな調教を始めることにした。沙莉もわかっていた雰囲気だ。
 「調教を始める。」「はい!御主人様!ご調教をお願いします。」「水族館の中では、店長と呼びなさい!」「はい!店長!」
 Tシャツの上から薄手のパーカーを着ているので、ブラジャーを外させる。リモコンバイブを手渡すと赤く頬を染める。みるみる瞳が淫猥に濡れたマゾの瞳に変わっていく。

 入館して順路と書かれた通りにゆっくりと見て回る。沙莉は、リモコンバイブがいつ動かされるのか、不安と期待でそわそわとしている。
 失敗したのは、スマホで操作するタイプだから、ポケットの中で操作が出来ないことだ。
操作画面を関係者に見られるといけない。
 魚を撮影するフリをして、いきなり強めの振動にする。「アッ…。」沙莉が慌てて口を押さえてしゃがみ込む。「大丈夫ですか?」心配したカップルの男性が声をかける。「あっ、だ、大丈夫です。」懸命に笑顔を作る沙莉、「あぁ、すいません。ちょっと疲れているみたいで。」と駆け寄ってフォローする。
「店長、おトイレに…。もう、染みが出来ちゃいそう。」今日は、仕事を兼ねて来ているので、早々にリモコンバイブを外す許可を出した。
 沙莉の欲望の炎は燃え盛ったままだろう。プレイとして責めるだけではない。このまま、放置する責め方もある。30分ほどイかさずに刺激されたのだ。沙莉にとってはたまらないだろう。
  


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