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人魚の会議
【ファンタジー その他小説】

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人魚の会議-2

魚達は人魚達の集落の真上で泳いでいました。
魚の群れはぐるぐると渦を巻きながら一心不乱に泳ぎ続けています。
人魚達はその魚の中の一番大きくて傷だらけの魚に声を掛けました。
「おい、魚さん、あんたたちのせいで海が汚れているんだ。どうしてくれるんだい。」
「パタパタ。何を言っているんだ?パタパタ。」
大きな魚は、えらでのんびりと呼吸をしながら答えます。
「あんた達が海で血を流しすぎるから海が汚れるといっているんだ」
それを聞いて大きな魚は諭すように人魚達に言いました。
「それはしょうがない事なんだ。僕達魚は魚として生まれた以上、その使命を全うしなければならない。自分達の子孫を絶やさないためにも、その結果他の魚達を襲うことになってもしょうがない。これは僕達の使命なんだ。君達もなぜだか知らないが、歌を歌う。それはしょうがないことだろ?」
人魚達は歌のことを出されては仕様がありません。
魚達は海を汚している、しかしそれはしょうがないことだ。そう思った人魚達は帰ろうと思いました。
すると
「ちょっと待ってくれ。」
さっきの魚です。
「僕達が海を汚しているのは認める。けど、他にも汚している奴らがいるんだ。それはどいつかだって?そんなこと自分達で考えてくれよ」
人魚達は会議を開くために帰りました。
人魚達が帰った後、魚達は、いつもより一生懸命
パタパタとえら呼吸をしていました。

会議は長引きました。
誰が海を汚しているかわかりません。
そのうち・・・・。

海は汚れきっています。
人間から見ても人魚から見ても汚れきっています。

なぜ海は汚れきったのだろう。
いったい誰が汚しきったのだろう。

まだ会議は続きます。
そして、ひとりの老人が言いました。
「わかったぞ。海を汚しきったのは人間じゃ」


その一言だけ聞いて、人魚達はなるほど、といいました。
そして、そうだそうだ、そうよそうよ、そうじゃそうじゃと口々に言い、その意見に賛成しました。

人魚達は人間に抗議に出かけました。

人間達は、港町に住んでいました。
船から積荷を降ろしたり、港近くの市場で魚を売ったりしています。
人魚達は海面から、ちゃぷん、と顔をだし、年老いた漁師に声を掛けました。
「おい、人間たち。あんたらのせいで海はこんなに汚れてしまった。どうしてくれるんだ?」
おじいさんはしゃがれた声で言います。
「はて?もう一度言ってくださらんか?」
人魚達は苛立ちながらももう一度言います。
「だから、人間。あんた達のせいで海はこんなにも
汚れてしまったんだ。どうしてくれる!」
人魚は激しい口調で言います。
おじいさんは、それを聞いていちどあきれたような顔をした後言いました。
「ああ。そうじゃな。確かにわしら人間が海を汚しておる。それは詫びよう。すまん。どのようにしたら海がきれいになるのか。わしらはそれを考えてみようと思う。じゃが結論が出るのは先になりそうじゃ。」
それを聞いて人魚達はうれしそうな顔をしました。
「自分達が海を汚したと認めるのか?」
「ああ」
おじいさんは短く答えました。
そして続けます。
「じゃが、どのようにすれば再び海がきれいになるのかわしらにはわからん。そこで人魚さん方。あんたらも考えてくれんかの?海のことに詳しいあんたらの方がきれいにする方法を思いつくのではないか?」
人魚たちはそれを聞き、なるほどと思いました。
そして会議を開くために帰りました。

おじいさんは人魚達が帰った後も、海面を見つめていました。


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