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[姦獣共の戯れ]
【鬼畜 官能小説】

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幼き被害者-6



(……れいちゃん…ッッッ)


対面している麗世は、ただ吊られているだけになっていた。
手を枷から引き抜こうともせず、力尽きたように膝をガクガクと震わせるだけ。
そして哀しい視線が交錯すると、麗世は謝るように頭を下げ、簾(すだれ)になった前髪の向こうから涙を溢した。

〈頼れる人はいない〉

幼かったあの日の《哀しみ》は、今この瞬間にも生まれていた……。



『イヒッ!?ボクはさあ、今朝オトちゃんが泣いてた理由を知ってるよお?電車の中で
《痴漢》されたんだよねえ?』

「ッッん"う"!」


犯罪に遭った心の傷を、笑われながら抉られた。

幼い日に受けたあの虐待に、いったいどんな意味があったのかを、そらは成長と共に理解していった。
そして身体の成長が進むにつれて、自分はより多くの異性から《性欲の対象》として見られる存在になっていくのだという事も……。


『ええ!?オトちゃん痴漢されたのお?カメラの向こうの大勢の《お友達》の声が聞こえてきたよ。『オトちゃんカワイソー』って』

『『痴漢ヤローはクソヤロー』だって、もうお友達が皆んな怒っちゃってるよぉ。怖かったよね、辛かったよねぇ?でももう大丈夫。オトちゃんにはボク達とお友達がついてるから…ね?』

「ッッッッ」


拐われたのも監禁されたのも、この拘束も撮影も、全ての理由はあの日の父親の欲望≠ナ説明がつく。
この世に生を受けた瞬間からへばりつく《性》を、抵抗すら許されずに他人に弄ばれる苦しみと哀しみは、命ある限り消える事はない。

しつこく絡んでくる二人組は、ニヤニヤと笑っている。
カメラマンもそうだ。
この撮影の果てに作られた円盤≠手に入れたヤツらも、きっとニヤニヤと笑いながら観るのだろう。
そしてあの日の父親も、顔をドロドロに溶かしてニヤニヤと笑っていた……。


「へ…変な名前で呼ばないでえッ!!カメラも止めてえッ!!ヒック!ッッぐッ……もうイジメないで…ッ……な、なにが楽しくて笑ってるのよぉ……ッ」


幼い頃に受けた心の傷は、未だに癒えてはいない。
そらに近づく男共は、どいつもこいつも性欲に塗れた汚らしいヤツらばかりだ。

取り返しのつかない酷い人生は、この撮影によって《最悪》を迎えて終わってしまう。
ひび割れたままの心は激痛に軋み、その沸き立つ感情をそらは堪えずに吐き出していた。


『どうしたのオトちゃん?ボク達なにか悪いコトし……』

「してるじゃない!変な名前つけてイヤなコトしてッ……ヒック…んぐ!もう私をイジメないで…ッ!」


ポロポロと大粒の涙が落ちていく。
鼻水が鼻穴から顔を覗かせ始め、グニャリと歪んだ唇からは涎が垂れた。

……実に好い顔だ。
不細工な泣き顔に男共は欲望を刺激され、ますます笑みが溢れてくる。
それにしても撮影を開始して数分と経っておらず、責めらしい責めといえば首輪を着けたくらい。
それなのに酷い憔悴ぶりである。

そらの過去など知りようがない男共は、その反応を《清純》の証だと思った。
既に傷心な少女への責めを緩めるはずもない。


『そうだよねえ?痴漢は「イヤなコト」だよねえ?だから《泣き寝入り》なんて絶対にしちゃダメなんだよ』

『「痴漢されました」だけじゃあダメなんだよなあ。誰にドコをどう触られたかまで言わないと、それは証言≠チてだけで《証拠》にはならないんだから』

「ッッッッ!!!」


……今朝そらが遭遇した痴漢師は、一人ではなかった。
三人……いや、もっと多い数の集団に、そらは襲われた。

そいつらはラッシュの人波を利用し、そらと麗世を分断した。
その圧倒的な囲みの中で、そらは集団痴漢に遭ったのだ。

小さなそらは、大きな大人の中で孤立した。
前から後ろから、右から左から痴漢の手は伸びてきた。
スカートの上から尻や下腹部を撫でられ、そしてそらのあまりの気弱さに増長した痴漢達は、スカートをグルリと回してファスナーの位置を前にずらし、其れを開けて手を潜らせるまでしてきた。

その瞬間、さすがにそらは痴漢達の人垣を突破して逃げた。
異変に気づいた麗世が痴漢と思しき男に詰め寄ったが、そこには《痴漢》しか居なかった。


『吊り革に捕まってて、どうやったらそんなコト出来るんだよ?デタラメ言うな!』

『ちょっと待てよ。今度は俺を痴漢呼ばわりか?証拠あんのかクソガキぃ』

『本気で名誉毀損で訴えますけど、それでも構いませんか?』


痴漢車両の中に、そらと麗世に加勢する者は居なかった。
俯くだけだったそらは、痴漢師の顔を一人として見ていない。
もちろん麗世も目撃した訳ではない。

強い言葉でそらを慰めていた麗世もまた、泣き寝入りと変わらなかった。
一時の勝利を手にした由芽とは違い、二人の少女はただの哀しい敗北者だったのだ……。


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