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熱帯魚の躾方
【SM 官能小説】

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テレビ取材-2

 一つまみ水面から落とすと気付いたベタが下から餌を追った。「すごーい!食べた食べた!」「どうぞ、一尾に一つまみ位で。」金魚鉢タイプの小さな水槽に入ったベタは十尾ほど、エアを入れなくても適度に水換えをして清潔にしてやれば、元気に生きてくれる。熱帯魚の中では、最も飼育が簡単な魚だ。
「うわー、可愛いー!これ、マンションで飼えるかな?」「これ、どうぞ。」ベタの飼い方と書かれた小さな小冊子を手渡す。夢中でページを捲っている。「水槽ごとお渡し出来ますから、餌だけあればすぐに飼えますよ。後日、配達も出来ますし。」「えー、どうしよう?」「カフェコーナーがあるんで、何か飲んで行かれますか?」小冊子を見入る彼女を白いテーブルへと案内する。「コーヒーでいいですか?グァテマラとキリマンジャロがありますけど。どちら?」「グァテマラで。」豆を挽いて熱いコーヒーを入れた。夏場でもクーラーの効いた店内では、ホットコーヒーが美味い。「わぁ、いい香り!頂きます!」向かいあって私も椅子に座る。「こちらも。」ベタの専門誌を彼女の前に置いた。「いっぱい種類があるんですね!」「どんなのがお好み?」「さっきの青と赤のがきれいかなー?でも、今日電車なんで…。」「こんなに暑いと家に着くまでに水温が上がっちゃうね。電車はちょっとヤバいかなー?明日なら宅配出来ますよ。」「助かりますー!」宅配申し込み書に住所、名前、連絡先、希望日時を記入してもらい、魚の種別、備品、餌、代金をこちらで記入する。複写になっているので、控えを彼女に渡した。「じゃ、明日の15時で!」「お願いします!あ、コーヒー代!」「お買い上げ頂いたんでサービスで!」「すいません!ありがとうございます!」「こちらこそ、お買い上げありがとうございます!」

 あの手の届かなかった美しい熱帯魚は、ひらひらと舞い戻り、撒き餌に寄ってきた。毎日少しずつ撒き餌を与えながら、手懐けていくのだ。そして、警戒心を持たせないように大きくゆっくりと網を張り、少しずつ気付かれないようにゆっくりと網を狭めていくのだ。決して慌ててはいけない。


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