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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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麻衣ちゃん幸恵ちゃん・19歳うぶっ子の処女臭-5


「ああ、うん……あの、これまでに告られたこととかって」

 二人が揃って首を横に振る。

「そ、そう。じゃあ、男の人とはもう、全然……」

「はい……」

 麻衣ちゃんが小さな声で言った。

「私は中学のときに好きな人ができたんですけれどもなにもなくって、幸恵は、ね」

「うん……好きになった人とかもいないです」

 ぽつり、と、つぶやくような声。

「私、ずっと怖がっていて……」

「怖い?」

「……はい。あの、なんていうか、私が誰かを好きになってもたぶんその人は私のことは好きじゃないんじゃないか、って……私、嫌われるのが怖いんだと思います」

 ああ、自意識過剰っていうやつか。なんだか自分の大学生時代を思い出す。自分からは積極的に女の子に声をかけられないコミュ障に過ぎないのに、俺は慎重な男なんだ、俺はそんなに軽い男じゃないんだ、と自分の心に防御の盾をかざして傷つくことから逃げていた。結局大学生活では彼女はできなかったし、童貞喪失も社会人になる直前の風俗でだった。
 でもあれから……卒業から四年か。社会人生活を経て俺もある程度成長し、無駄な自意識も捨てられるようになった。そうじゃなければあの日歩道橋でしのちゃんに声をかけるなんてことはできなかっただろうな。
 そのことを体験談的に話してあげることができればいいんだろうけれど、積極的になった結果できた「こいびと」が小学生だということをうまくぼやかして伝えられるかどうか。そもそも悩みの途中でしたり顔で結論めいたことを言っちゃうのもあまりよくない。
 いや、それよりも、俺の前に座る二人のJDから漂う匂い、ほのかに漂う二人の息臭と体臭が俺に、この場をなるべく長くもたせたほうがいいことあるぞ、とシグナルを送ってくる。特に、幸恵ちゃんのほうからより強く漂ってくるガム系の甘い香り。ちょっとぽっちゃりした女の子の、甘く、どこかまだ成熟していない体臭。同じ甘い匂いでも比較的年の近い柚希ちゃんの体臭とはどこか違う、彼氏とのキスやセックスを知らない、その一方で性への興味はあっていささか頭でっかちになっている、うぶなのに知識と肉体はある程度成長した十代後半の女の子特有の「処女臭」。
 わかるよ、というニュアンスをこめて幸恵ちゃんに向かってうなずいた俺は、ゆっくりとアイスウーロン茶のカップを口元で傾けた。言外に話の続きを促す。昔に比べて聞き上手のふりができるようになったのは、多少精神的に成長したのと相手が女の子の場合ある程度一方的に喋ってもらったほうが息臭を堪能できるからだ。
 少し息を吸い込んだ幸恵ちゃんが続けようとしたとき、カウンターに並んでいた制服の男子高校生の集団がトレーを手にがやがやと俺たち三人のテーブルの隣に腰を下ろした。なにか言いかけた幸恵ちゃんの口が閉じる。麻衣ちゃんがとまどったように男子高校生と俺に交互に目をやる。モスチキンにかぶりつきながら新しく買っ(ってもらっ)たスマホの自慢を始めた男子高校生と、狭い通路を挟んだだけで続けるにはこの相談は内容的にも麻衣ちゃんと幸恵ちゃんの自意識的にもちょっとむずかしい。
 こういうとき、以前の俺だったら麻衣ちゃんと同じようにとまどうだけか、あせって心にもなくこの場をお開きにしてしまうかどちらかだったに違いない。そして、チャンスを逃したことを後悔しながら、少ない情報を必死にかき集め妄想で補填しながらわりと虚し目なオナニーをしたりしてたんだろう。
 でも。軽く咳払いした俺は、なるべくゆっくり落ち着いたトーンになるように意識しながら、幸恵ちゃんと麻衣ちゃんにこう言っていた。

「なんか騒々しくなっちゃったね。場所変えて続きを聞くよ」


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