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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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麻衣ちゃん幸恵ちゃん・19歳うぶっ子の処女臭-1


「いやー飲んだね。生理明けのお酒さいこー」

 コンビニの前でトラックから弁当やサンドイッチが詰められたコンテナをトラックから下ろしていた配送ドライバーが、琴美の声に一瞬手を止めて固まった。酔うと琴美は本当に他人の目を気にしなくなる。素面でもあんまり体面とか世間体とかそういうものにこだわらないところがあるけれど、アルコールの代謝が進むと本気で口にチャックしてやりたくなるほどに発言が奔放になる。実際、入社2年目の今くらいの季節の頃、搭乗時に理不尽なクレームを付けてきたPAXのことを帰りの電車の中でボロクソ言い始めたときには、他の乗客がほとんど乗ってはいなかったけれども思わず琴美の口を手のひらで塞いだりもした。あれは本能的にやったんだけど、そのときに手のひらに移ってきた琴美の唾液の匂いは、まあ、家まで我慢できずに駅のトイレで一発抜いたくらいには芳しかったな。

「そー言えばさぁ」

 琴美の赤い顔がこっちを向く。あのときの手のひらの匂いとはまた違う、ビールとカシスグレープとマッコリと鉄鍋餃子の脂とスモークタンの匂いがブレンドされた俺的にはちょっと添加物多めで嗅げてもあんまり嬉しくないバージョンの息臭が、まだちょっとひんやりする四月の夜風に乗って漂う。まあ、なぜか俺が把握している「周期」が明けて約五日、琴美がいつもの酒量とテンションに戻ったのはめでたいけれど。

「麻衣ちゃん、また相談したいことがあるっぽいよ」

 どき。酔いと関係ない機序で動悸が起こる。

「なんだか、男にしか相談しにくいっていうか、男の性の本音が聞きたいっぽい感じだったからさあ、あたし最後まで聞かないで『あんたに相談したら』ってアドバイスしておいたから。あんたのかわいい妹分の相談、乗ったげなよ、ひっひっひ」

 ええと、まず複数のツッコミどころを解決するか。 

「てか琴美お前、それなんでわざわざここで。さっきの店、ちゃんと個室だったからあっちで話してくれてもよかったじゃねえか」

 コンビニは通り過ぎたけど、新年度を迎えたばかりの駅前の道にはもうすぐ十一時になろうというのにまだ人の波が残っている。琴美の言葉を聞きつけたなら、そのいささか色めいた内容に聞き耳を立てる人がいるかもしれない、さっきの配送ドライバーのように。

「今思い出したんだもん」

「それに『妹分』って、琴美だって同じだろ、俺のことお兄さんみたいだって言ってくれているみたいだけど、琴美なんて俺よりも仲いいし、もっと親密なお姉さんじゃないのかよ」

「だってぇ、『男の性の本音』て言うから、さ」

 ニヤニヤ笑いながら琴美が小走りで横断歩道を渡る。おいもう赤になるぞ、飲んだあとはあんまり走りたくないんだけどな。

「まあまあ、だってあんた、こないだも麻衣ちゃんの『相談』、ちゃんと乗ってあげてたじゃない。最後はちょっと怪しかったけど」

 歩道との段差の直前で思わず立ち止まり、「割増」の緑色のランプを灯したタクシーにクラクションを鳴らされる。

「……でもなあ」

「うーん、まあ、じゃあもうちょっと会議しようか。あたんしんちだとまたあんた興奮しちゃうから」

 余計なこと ―でも図星かもしれない― を言いながら琴美がちょうど若い会社員の集団が出てきたビルの青いネオンを指差す。

「あそこでミーティングしよう。ドリンクバーくらいならおごるよ」

 で、末のちょっと高めのカラオケ室料は割り勘で、ドリンクバーのペプシをがぶがぶ飲み干した琴美が「とりあえず」と三曲立て続けにsuperflyと坂本真綾と乃木坂を歌っている間、アイスコーヒーをすすりながら文字どおり悶々と過ごす俺、という予想どおりの展開にはなった。「シンクロニシティ」を歌いながらテーブルに手を伸ばす琴美からリモコンを遠ざけ、やっとカラオケルームのエコーが収まる。

「ああごめんごめん、カラオケひさしぶりだからさー」

「会議の本題に入りたいと思いますが」

「まあ、落ち着いて落ち着いて」

 手のひらをひらひらさせた琴美が、その手でインターホンを取って「すいませーん、ポテト&チキンナゲットと海苔チーズスティックお願いしまーす」とオーダーする。まだ食うんかお前。

「じゃ、本題に入るけどさ」

 パウチされた大判のフードメニューでおっさんみたいにパタパタと顔をあおいだ琴美がやっとこっちを向く。

「麻衣ちゃんが春休み入るちょっと前かな、二人でご飯行ったんだけど、いま麻衣ちゃんの同級生の子とで、共通の悩みがあるんだって」

 そう言って、勿体ぶってペプシを二口ほど飲んで、あー、ペプシってコカコーラよりも甘くておいしー、と息を吐く。テーブル越しに臭う息臭はぶどう糖液糖とカラメル色素と香料を強く含んでいて、そういう意味では生々しさが薄くやっぱり俺的には満足できない。

「それがね、どうも『自分たちは男性から見てつきあいたくなる性的魅力がないんじゃないか』ていうことらしいんだ」

 どういう反応を見せたらいいかわからないのでとりあえず固まってみせる。

「前にあたしの部屋で、あんたにもおまんこ見せたりしたじゃん。あの延長の話のような気がしてさあ」

 こんこんこん。ドアがノックされる。おまたせしましたポテト&チキンナゲットと海苔チーズスティックでーす。麻衣ちゃんくらいの年齢の男性店員がドアを開けた。軽く咳払いして琴美を制する。店員が退室すると琴美はさっそくポテトに素手を伸ばす。熱くないんかい。

「だからさぁ」

 もしゃもしゃ、とポテトを咀嚼しながら琴美が続けた。

「ああ、これは男性のあんたに相談したいんだなあ、でも性の話だからいきなりあんたに持ちかけたらいっくら優しいお兄さんでも引かれると思ってあたしを経由しようとしてるなあ、あたし勘がいいからそういう機敏わかっちゃうんだよねぇ」


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