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月灯り
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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幕が開いて-1

 男の部屋に戻ると、すでに男はガウンを羽織っていた。私たちはガウンというわけにはいかないので、服を身に着けたままだった。おかしなもので、ガウンの男と服を身に着けた者では、服を着ているほうが下に思えたりするのだ。ようするに彼がご主人様で私たちは召使いのように見えるのだった。それと分かっているから、彼は最初にお互いが服を着たままの状態で会ったのかもしれない。遊びでありながら、細部に渡って拘る男なのかもしれないな、と私はそう思い、それでは、と、彼には私の指示があるまで絶対にガウンを取らないように、と、そう言った。男の立場を逆転させたかったからだ。
 そうして、私は妻を部屋にエスコートし、男の見ている前で妻の服を脱がせにかかった。夏用の薄いジャケットを取ると、男が慌てたようにハンガーを取りに行こうとしたので、私はそれも止めさせた。そして、窓際にあったソファーに座り、そのまま私たちを見守るように、と、そう指示した。
 そして、妻のジャケットは私がていねいにハンガーにかけた。さらに、ブラウスを脱がし、妻のスラリとした脚に似合いのタイトなスカートを脱がし、ていねいにそれらをかけ、そのまま、キャミソールを脱がし、ブラとパンツを取った。男の部屋でただ一人、妻だけが全裸となった。
「綺麗だろう」
 妻の裸を男の目に晒す。その裸は本当に綺麗なのだ。白い肌には、まだ、幼い娘の光沢さえ宿している。胸は小さいが、それも、幼さの象徴のように見える。乳首は喩えではなく本当にピンクなのだ。細い腰が小さな尻をそれでも、いくらかは大きく見せている。髪以外は黒い部分がない。腰の下の亀裂は、ふっくらと二つに隆起し、その亀裂には深みがなく、まるで割れていないかのように浅い。そんなところに、これまで、私の小さなそれに比べると、とてつもなく大きな男たちのそれを受け入れて来たとは、とても信じられない、それほどまでに妻のそこは美しかった。
「綺麗です」
 男が椅子から降りて妻の前に跪こうとしているのも私は止めた。そして、私は、妻を後ろから抱き、その右手を取り、そっと妻の亀裂の部分にそれを導いた。そして、妻の中指を私の中指で押した。妻から声が漏れた。
「見せてあげるといいよ。君が自分で自分を慰めるところをね。ただし、まだ、気をやってはだめだよ。夜は長いんだからね」
「ああ、でも、太股に熱い雫が漏れて伝ってしまったら、私、恥ずかしいわ」
 私もそうだが、妻も、すでに何かを演じはじめていた。今、この部屋でお客なのは男だけだ。それも、いつか舞台の上に呼ばれるはずだと信じて、しかし、呼ばれないままに幕が閉じるかもしれないと不安に思っているところの、彼はお客なのだ。
 妻が男に自分を慰める姿を見せつけている僅かな時間に、私は自分も全裸となった。すでに私のそこも興奮していた。それを男に見せつけながら、私は「まずはシャワーを使おうか」と、妻に言った。妻に言ったのに「支度を」と、答えたのは男だった。またもや男は慌てたように立ち上がろうとするので、再び、私は彼を止めた。
「シャワーは勝手に使わせてもらうよ。君は、バスルームの前で、それを見ているんだ。いつか私のように妻の身体を洗えるように、その仕方を見て、しっかりと覚えるんだ、いいね」
 男は子供のように、激しく、何度も何度も首を縦に振った。まるで男の頭が犬の尻尾にでもなったかのようだな、と、私はそう思った。舞台には上げない。ただ、私は男を舞台の前まで来るように、と、そう促しただけだ。それでも、男は、それによって、いつか自分も舞台に上がることが出来るのだろう、と、そう思い、そして、喜んだのに違いなかった。


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