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上野家のある週末
【SF 官能小説】

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訪問者-4

正輝を人質に取られた劣勢をどう変えるかと恵は思案していた。相手の要求を飲んで隙を見て反撃するしか無いとの結論に至る。アルゥは、

「そのふざけたコスプレは、アルファの戦闘スーツだろう?」
「スーツの防御機能を無効化しろ!」

と言う。恵は仕方無くスーツのモードをオフにするとスーツ全体が明るく発光した。そしてケイトの容貌と身体が若い女性から恵へと変化する。

スーツの戦闘モードに合わせて容姿が若くなる様に設定してあり、モードオフになり元の恵に戻ったのだった。アルゥが声を掛けようとした時、

「母さん!」

と横の正輝が驚愕の叫び声を上げた。正輝は理解出来ない言葉で話す3人をなす術もなく見ていたが、急にスーパーヒロインの女の子が発光して容姿が変わり見知った女性になった、紛れも無い恵だった。アルゥは正輝と恵を交互に見て、

「そう言う訳か。」
「通りで素直に言う事を聞くと思った。」
「お前は、この男の母親の身体を使っているのか?」

と再び恵を見据えて意味あり気に笑う。そして恵に向けていた小型の武器を握っていた手の人差し指で武器を軽く操作するや突然、先端から赤い光が発射された。赤い光線が恵に当たるとケイトの身体が赤く包まれ、

「ぐぅ…」

と恵が呻め声を出す。片膝を付きアルゥを睨み付ける。恵のスーツのあちこちに黒っぽい5、6cmサイズの焦げた様な穴が空いていた。スーツのあちこちからバチバチと放電している。グリィが、

「良いぞ!」
「もっと痛めつけろ!」

と歓声を上げる。正輝が血相を変えて、

「何するんだ!」
「やめろ!」

と声を荒げる。アルゥは再び正輝に武器を突き付け、

「黙れ!」

と言うと驚いた様に恵を見て、

「威力を最大にして撃ったのに、その程度か?」
「その女の体をアルファの遺伝子技術で強化しているな!」

と話すとグリィも警戒する様な目で恵を見るも、

「この女には借りがある!」
「もっと思い知らせてやりてぇ!」

とアルゥに訴える。アルゥは頷き、

「俺に考えがある。」
「お前好みの復讐だ。」

とグリィを見ていやらしく笑う。アルゥは正輝を見て少し考え、

「小僧を拘束する、隣りのスペースから椅子と何か縛る物を持って来い!」

とグリィに指示する。グリィは頷きすぐに隣りのキッチンに向かう。その間もアルゥは武器を正輝の頭に突き付け、恵に隙を与えない。程無くグリィは、キッチンのテーブルの椅子と梱包用の紐を持って来た。アルゥは、

「その椅子に座れ、小僧!」

と日本語で命じ、

「小僧をしっかり縛れ!」

とグリィにベガァ語で指示する。グリィが椅子に無理矢理座らされた正輝を梱包用紐で何重にも巻いて厳重に縛り拘束する。正輝の拘束が終わるとアルゥは胸元の幾つもあるポケットの一つから何かを取り出してグリィに渡す。アルゥは、

「何か分かるな、小僧に付けろ!」

とグリィに指示する。グリィは正輝に近付くと短いボールペン位の太さの金属製の棒状の物を操作する。するとそれは伸びて輪っか状になり、それを正輝の明るい金髪の頭に嵌めると自動的にフィットする。アルゥは、

「これが何か分かるか、アルファ人?」

と恵にベガァ語で聞く。恵は頷き、

「ベガァの人体コントローラ。」
「脳波に働き掛け、人を操る物。」

と淡々とベガァ語で答える。アルゥは頷き返し、

「そうだ、ウラだ。」
「そしてこれが、ウラのリモコンだ。」

と言い、胸元のポケットから細長い小さなペン見たいな物を取り出しボタンを押すと正輝が体をジタバタさせ、

「ああ!」
「頭が痛い!」

と急に大声を出す。アルゥは恵の前で再びボタンを押すと正輝は体を動かすのをやめ、

「何が起こったんだ!」
「急に頭が割れる様に痛かった。」

と頭を振り顔をしかめる。アルゥは恵に、

「この様に痛め付ける事も出来る。」
「そして。」

と言うとそのペン型のリモコンのスイッチを操作して、

「最大の威力にした。」
「普通の人間なら死ぬ強さだ。」
「試して見るか?」

と凶悪な顔で話す。恵は険しい表情になり、

「やめろ!」
「何が目的だ?」

と聞く。


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