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人気少年【制約】
【学園物 官能小説】

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人気少年【制約】-1

ボクは雪野瀬真緒(ゆきのせ まお)。
大してレベルの高いワケでも低いワケでもないごく普通の学校に通う、中学二年生だ。
ただ、ボクはそこらにいる"普通"の中学生とは違う。

ボクは、美形だ。
それもとびっきりの童顔で女顔。

小学校を卒業するまでは髪型や小太り体型のせいでそのことにあまり気がつかなかったものの、
中学に入学するまでに全てを見直し、人並みの体型に人並みの髪型をしてからそのことに気付いた。
身長などはそんな低かったりするワケでもなく並以下ではありつつもちゃんと成長し続けているにも関わらず、
顔だけは、まるで子供の頃から成長してないかのように"幼く"、"かわいい"のだ。
言われ続けるうちにボクは自覚を持ち、この顔を自分の最大の自慢とするようになった。
そのせいか、そのおかげか、ボクはいま、自分自身に泥酔している。
ボクは人に絶対言えないような趣味やコンプレックスを、同年代の子達と比べると多く持っているけれど、
それら全て"背徳感"と引っ括め、自分という人間に興奮する肴にしているのだ。
もちろんボクはそのことさえも自覚している。それすらも肴だからだ。
ボクは、いまの自分に心底泥酔している。
しかし、それらを他人の前で出すこと、におわせる事は絶対にしないし、それを信条に生きてきている。
それがボクだ。

「いってらっしゃい、真緒。」
「いってきまぁす!」
ドアを開け、外に駆け出す。朝の陽光が眩しい。
学生カバンを手に、何週間ぶりかの小街道をひた歩く。
久しぶりの学校だ。一足進めるたびに、その事を考える。考えるたびに、胸が高鳴る。
学校には、ボクのことを好いてくれる女の子がいっぱいいる。ボクが好いている女の子が"いっぱい"いる。
今日からどんな甘酸っぱい毎日が始まるだろう。今日はどんな日になるだろう。考えるだけでドキドキする。
「やっ、真緒!」
後ろから肩を叩かれた。同時に、女の子の声。それも聞き覚えのある声だ。
ボクが後ろを振り向くより先に、女の子がボクの目の前に出た。
「おはよ。」
「おはよう沖田さん」
ポニーテールに淡い茶髪。パッチリ開いた二重の目がとても愛らしいこの子は、同級生の沖田麻里子(おきた まりこ)だ。
中学一年の特に同じクラスで(二年生になったら別のクラスになってしまったけど)、ボクの好きな女の子の中の一人でもある。
「久しぶり〜。夏休みどうだった?」
「うん……まあ、特に何もないフツーの夏休みだったよ」
「あらそう。とにかく元気そうでよかった」
「沖田さんも変わらず元気だね」
「私はいつも元気だよ!」
両手を握り締めて、ニッと笑う麻里子。白い歯が眩しくてかわいい。
麻里子は火照った目でボクを見つめながら言った。
「ちょうどよかったね、学校まで一緒にいこっ」
「うん」
そっとボクの手を掬い絡める麻里子。温かく、柔らかい。
麻里子の口から、小さく笑みが漏れる。その後麻里子はまたボクの顔を見つめたと思うと、今度は顔全体をほころばせて笑った。

……やっぱりこの子は、ボクにベタ惚れなんだな。

ボクはこういうことに関しては敏感すぎるくらい敏感だ。(それを知っているのも自分だけ)
きっと彼女は、クラス変わってから毎日ボクに会えなくなって寂しくて切なくてたまらなかったんだろう。
夏休みの夜には、枕を抱きながらボクの名前を呼んでたりもしていたんだろうか。
辛かっただろうね、麻里子。いまはさぞかし幸せなことだろう。
いいよ。もっと寄り添いなよ。ボクが癒してあげる。
ボクは、麻里子の手を一層強く握り締めた。麻里子の顔が一層赤みを帯びた。


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