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人気少年【制約】
【学園物 官能小説】

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人気少年【制約】-19

「ただいまあ」
「おかえりー」
家に帰ると、今日は珍しく姉が出迎えた。
相変わらず酔っ払っているのか、顔がぽかぽかに火照っている。
よろよろした足取りでこっちに来ると、いきなり肩を抱いてきた。
「ねえ〜、感謝してるか真緒ォ〜。ちゃんとアタシに感謝しなよォ〜」
またこれだ。姉は恩着せがましい性格で、ちょっと世話してもらった土曜日以来、顔を合わせる度にこう感謝をねだってくる。
まだ二日しか立ってないのに、こう絡まれた回数はもはや数えるのも億劫な程だ。
そういえば今朝もこうやって絡んできたっけ。
「あーもー、感謝してますからハイどいて!」
ボクは姉を手でどかした。
「いや〜ん、真緒冷たァ〜〜い」
後ろから声が聞こえるが、ボクは構わず階段をかけ上がり、すぐに自分の部屋に入った。
電気をつけ、机の上に置いてある"箱"に一直線に向かう。
ボクは大急ぎで箱を開け、中の物体を取り出した。一片の古みの無い立派な新品だ。
折り畳まれるその"機器"を、少し馴れない手つきで開く。その断面の液晶に書かれる文字に、ボクは心踊った。

『新着メールあり』


別れの日の早朝に姉と一緒にボクはこの携帯電話を購入し、そして別れの時に麻理子とアドレスと番号を交換した。
これさえあればいつでも麻理子と連絡を取れる。声も聞けるし、姿だって見れる。
そう、麻理子は別に死んだワケじゃないんだ。ただ引っ越して遠くへ行ってしまっただけ。
……そう考えられるようになったのも、ボクがそこまで悲しみに暮れる事が無かったのも、コレのおかげだ。

急かす衝動に従って、ボクは携帯電話のボタンを力強く押した。
命のこもった麻理子の言葉が、画面いっぱいに映し出される。

『やっほお真緒ー!学校終わったー?あたしはいま学校終わったよ。
真緒並の男の子は見る限りひっとりもいなかったけど、みんな結構いい人で楽しく新しい学校生活送れそうだヨ!
だから真緒も頑張って!もしいい彼女出来たら紹介してね!』

――いい彼女出来たら――
その言葉に、別れの時麻理子が最後にボクに行った台詞を思い出した。


『悲しまないで、真緒。あたしは前向いて生きる、幸せな顔をする真緒が好きだよ。
あたしの事なんて気にしなくていいから。大好きな子が出来たら、惜しまずバンバン彼女にしちゃってね。
あ……でもその時はその子あたしに見せてよね。へへ』

顔が自然と綻んでいく。ボクはニヤニヤしたまんますぐに返信のメッセージを打っていった。
今日もまた夜遅くまで起きる事になっちゃいそうだな。でも……まあ別にいいか。



おしまい


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